中国で今週、フェイスブック傘下の通信アプリWhatsAppが封鎖されました。共産党大会を間近に控えて、当局は世論統制を強化しています。
世界で10億人が利用するWhatsAppは、中国で貿易に携わる人々も、海外と連絡を取るためによく利用しています。
政権の新旧幹部が集まる北載河会議の直前の今年7月、WhatsAppに規制がかかり、中国のユーザーは写真やビデオを送信できなくなりました。
9月25日にはテキストの送信もできなくなり、完全に封鎖されたと言えます。貿易従事者は悲鳴を上げており、ネットでは「伝書鳩の時代に逆戻りした」と揶揄されています。
当局は同アプリの暗号を解読する技術を持っていないため全面封鎖に踏み切り、民衆に微信(WeChat)など当局が規制しやすいアプリを使用させることにした、とシンクタンクは分析しています。
米議会の「グローバル・オンライン・フリーダム・アクト」立案者 蒋品超氏:「当局は党大会に備え、政権にとってマイナスになる外国の情報を封鎖することにしたのです。この規制は今後も長引くと思われます。」
中国当局は6月、ネットでニュースや時局評論を発表するには「時局ニュース発表権」を申請しなければならないとのルールを強化しています。
7月に数十種に上るVPNを封鎖しました。広東省ではVPNアプリを販売したとして9カ月の禁固刑を言い渡されたユーザーもいます。
8月には党の役人がネットでマイナスの情報を発表したり、いわゆる非合法のサイトを閲覧することを禁じました。
さらに9月、中国インターネット3大大手の新浪、百度、騰訊が、当局の要求に沿っていないとして10万~50万元の罰金を科せられました。
時事評論家 唐靖遠氏:「ネット規制を行う上に、さらにいじめるとはひどいことです。新浪や百度など、当局の意向に沿って運営してきた企業さえも、まだ足りないと言って罰金を科す。一方、こうした強硬的な手段の背後に、政府の強い危機感があるのが見て取れます。中国政府は過去数十年間、近代化したと見せかける必要がある時は、世論統制の手を緩め、政権が危機に直面している時には、世論統制と監視を強化してきました。だから、今回の規制は当局の危機感の表れです。」
WhatsAppのほか、facebookやgoogle、youtubeも封鎖されています。
2016年、アメリカの貿易関連の役人が初めて、中国のネット封鎖を貿易の障壁だと指摘し、外国企業に多大な負担となっており、サイトにアクセスする必要のあるユーザーにも多大な損失を与えている、と批判しました。トランプ政権がこのネット規制の障壁にどう対するのか、注目されています。
新唐人テレビがお伝えしました。