中国の農村の子供の63%が高校進学せず

アメリカの経済学者が、中国の農村の子供の63%が高校に進学せず、小中学生も栄養状態が悪く、半数に上る乳幼児が知能の発育が遅いとの研究結果を発表しました。中国の都市部と農村部には教育格差もあることに、注目が集まっています。

経済学者のスコット・ロゼール氏はスタンフォード大学が実施する「農村における教育活動計画」の責任者として、37年間に亘り、中国の大学や研究機関と合同で都市部と農村部の教育格差を減少させるための研究や活動を行ってきました。

今回発表された研究結果により、中国の都市部では93%が高校に進学しているのに対し、農村部では63%が進学していません。

中国の都市部と農村部における教育の不平等については、「エコノミスト」も今年4月に関連の記事を掲載しています。その中で、800メートルの階段を登って通学しなければならない四川省山間部の子供たちの状況を報道しました。通学途中で命を落とした子供もいます。一方、北京郊外には年間の学費が36万人民元にも上る寄宿制学校があり、外国で教育を受けている子供もいます。

このほか、ロゼール氏の研究チームは中国の約20省の農村の小中学生約13万人に対して検査を行ったところ、貧血が27%、寄生虫がある者が35%、視力矯正を受けていない者が25%に上り、栄養と健康の状況が良くないことが分かりました。

中国のある県の農業を管轄する部署の事務所は、きらびやかで贅沢な調度品で溢れている、とも報じられています。ロゼール氏が政府関係者になぜ子供たちに給食を支給しないのかと質問したところ、「お金がないから」という答えが返ってきたといいます。

ロゼール氏の研究チームは2014年から、中国の農村の0歳~3歳の乳幼児に対し、知能検査を行ってきました。その結果、45%~53%の子供の知能が、正常の水準よりも低いことが分かりました。アメリカの経済学者でノーベル賞受賞者のジェイムス・ハックマン氏は、年が若ければ若いほど投資への見返りは大きく、0歳~3歳の乳幼児に1人当たり1ドル投資すれば、社会や個人に対する見返りは18ドルにもなり得る、と指摘しています。

それでは中国政府は中国の0歳~3歳の子供たちにいったいいくら投資しているのでしょうか? 答えは0です。

 
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