笑ったり泣いたり、あるいはあくびをしたりすると出てくる涙。では、この涙の働きとは?
実は、この涙は健やかな目を保つのに欠かせない物だ。これは一種の洗浄剤だといえる。眼球を湿らせておく働きをするので、まばたきによって目の表面を掃除することができる。異物が入ってきても、涙でそれを流し出すことが可能だ。
この涙は24時間分泌されており、鼻涙管を通って鼻へ流れていく。常に目と鼻を循環しているわけだが、この通路が詰まると涙があふれてくる。よって、泣いたり笑ったり、あくびをすると、顔の筋肉が鼻涙管などを圧迫し、涙が出てくるのだ。これらは正常な涙である。
一方、病的な涙もある。一般に年を重ねると鼻涙管などが詰まってくるので、ネバネバした涙が多く出てくる。これを「眵泪(チーレイ)」と呼ぶ。もう一種は「風涙」。風に吹かれたときなどに流す涙だが、またの名を「迎風涙」「迎風冷涙」という。これらはすべて、漢方では「腎虚」と見なす。これらは一般に年配者に多い。
また若者の場合、炎症で涙が出ることが多い。結膜炎、角膜炎、強膜炎など。漢方には「目は肝の状態を表す」というので、通常これらは肝と関係があると見る。例えば、肝火や肝熱である。
漢方の治療の原則はいたってシンプル。つまり、「症状の原因をつかみとり、そこにアプローチする」。だから、治療方法も簡単だ。肝の火や熱が原因なら、その火や熱を逃す。そして腎虚には、腎虚や腎水を補うのである。
このほか、目の健康保持にお勧めの食べ物もご紹介。それはずばり、菊の花とクコ。これらを砕いてから、蜂蜜で固めた丸薬を飲むと目の病には無縁だという。忙しい現代人ならば、これらをお湯にひたしたお茶でも悪くないそうだ。
【漢方の世界】涙―目のケアには、菊の花にクコ・蜂蜜