今回のカルテでは『医山夜話』から、「父女の縁」をご紹介。
物語の主人公は、ある米国人男性とその娘。この米国人男性は、ベトナムのある少女を養女として引き取る。そしてこの少女が成長したある日、この親子は旅へと出かける。その途上、旅行雑誌を何気なくめくっていた少女の目に、ベトナムの写真が飛び込んできた。すると突如、少女の心にはある光景がよぎり始める。少女からその光景を聞いた父親は、衝撃を受けた。なぜなら、それは父がよく見る悪夢とそっくりだったからだ。
この二人は親子とはいえ、養子であるから血縁関係はない。しかしながら、二人の心の奥底に秘められていたある記憶はつながっていた。しかも興味深いことに、二人は共に胃腸の病気に悩まされていた。それをある漢方医は何と、赤い糸で二人の指を結び治療を試みた。するとその結果……
この血のつながりを超えた二人の関係とは?人と人とのめぐり合わせ、縁とは一体何なのか?不可思議で、でも感動的なこの物語を胡先生が解説します。どうぞ、お楽しみに。
このほか、胃腸の不調の緩和にお勧めの漢方療法もご紹介。このうちツボ押しは、「足三里」と「公孫(こうそん)」。「足三里」は、ひざの外側から3センチほど下がった位置にあり、胃寒に対し最適のツボだという。
【漢方の世界】カルテ(二)―父と娘の心を結んだ赤い糸