「百病は皆、痰から生まれる」。これは漢方の言葉だ。だが、一般に「痰」と聞いて思い浮かべるのは気管から出てくる分泌物だろう。なぜ痰があらゆる病気を招くのか?本日は、こんな疑問を解き明かして行きたい。
実は漢方における痰とは、ずばり脂肪だ。例えば、細胞を構成するコレステロールなどで、体中に存在する。したがって、「痰」が多くなれば肥満になり、様々な病気を招いてしまう。そこで、「痰なしで病気知らず」という言い方も生まれたのである。
痰を除去するための主な処方は、「二陳湯(にちんとう)」。これは、陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)などから成る。これで痰を除けば、脂肪も減りダイエット効果が期待できるという。
ここでもう一つご紹介するのは、「飲」。これはサラサラとした一種の体液で、全身に存在する。それが存在する部位により、いくつかに分かれる。例えば、支飲(しいん)、溢飲(いついん)、伏飲(ふくいん)、懸飲(けんいん)。この飲も多くなれば病気を招く。そこで過剰な飲は除去する必要があるが、この場合も二陳湯が使われる。
支飲:気管、肺
溢飲:手足など四肢
伏飲:横隔膜の上
懸飲:肝と胆に関係する
ただし、痰も飲も完全に取り除くのは禁物だ。多すぎれば病気の原因になるが、これらも結局人体にとっては欠かせない物だからだ。つまり、体に存在する物はみな必要なのである。大切なのはそのバランス。そして漢方は、その本来あるべきバランスを取り戻すのに一役買うのだ。
【漢方の世界】痰と飲―痰の除去でダイエット?