中国、国境地帯の軍事配置を強化 専門家「中朝は疑心暗鬼な関係」 

北朝鮮と韓国の南北会談が今月初旬に行われ、朝鮮半島の緊張緩和に対する期待が広がるなか、中国はあえて北朝鮮との国境地帯で軍事的な配置を強化している。中国国内の専門家は在米中国語メディア・大紀元時報の取材で「相手の策略をある程度察しているため、中朝双方が疑心暗鬼で警戒し合っている」と独自の見解を示した。

緊迫感が増す中朝国境

AFP通信の19日付報道によると、中国当局は最近中朝国境地域周辺で、駐在軍力をさらに増やしたほか、監視カメラや放射線測定器を増設している。

昨年では、数十万人を収容できる難民キャンプの設営を政府内部で決めたことや、両国の国境線となる鴨緑江の道路上に多数の検問所を新たに設けられたことなどが報じられた。

北朝鮮と中国とロシアの国境線である豆満江(中国名、図門江)北部に位置する中国の龍井市では、凍結している川から北朝鮮人が越境してくるのを防ぐため、川に面するダムの高所に監視カメラの数を増やして、各村が自警団を結成するなど対策を講じている。

北朝鮮側も中国に警戒しているようだ。

大紀元の取材を受けた現地住民の話では、以前、北朝鮮人が鴨緑江の中国側エリアにわたって魚を獲っていたが、今は来なくなった。

また、中国現地政府は市民に注意喚起を行なっていない、警備強化について公式の説明がないと住民が話した。

中国国内ジャーナリストの黄金秋氏は大紀元時報の取材で、同国境地帯での一連の動きは、複雑な中朝関係を露呈したと指摘し、次のように分析した。

中国最高指導部では、中朝関係をめぐって意見が対立しているという。

「いざという時に北朝鮮を外交の切り札として利用するため、北朝鮮との関係を維持すべきという見識と、国際社会からの批判・圧力を交わすため、北朝鮮と一線を画すべきだという意見があり、決して一枚岩ではない」

一方、「金正恩・北朝鮮労働党委員長も二つの打算に揺れ動いている」と黄氏が指摘する。共産圏の盟友である中国やロシアが味方になってくれるという期待から、国際社会を挑発し続けている一方で、経済難を解決できるなら、中国を差し置いてでもアメリカと直接対話して資源や援助を引き出したいというのだ。

相手の腹案をある程度読めているため、両国の関係は一貫性のない不透明のまま、互いに警戒しながら利用しあっている、と同氏は深読みした。

中国は北朝鮮の核問題を対話で解決する方針を崩してはいないが、トランプ米政権と北朝鮮が衝突する事態に身構え、影響を最小限に抑えたい思惑が渦巻く。

 
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