臓器出所は良心の囚人? 「中国における臓器移植を考える会」発足へ 

中国良心の囚人から強制的に臓器を摘出し、日本臓器移植希望者に移植される医療倫理に反する臓器移植ツーリズムを再考すべく、政府に対して、実態解明と共に行政・医療・保険など各方面の対応策を求める趣旨の下、ジャーナリスト、議員有志らが「中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)」を結成し、23日参議院議員会館で発足式が行われた。

長年、中国の臓器提供の実態を調べてきたカナダとイスラエルの専門家3人が招かれ、講演の中で日本の臓器移植法改正の必要性を訴えた。 2006年から同調査をはじめた元カナダ国務大臣アジア太平洋担当のデービッド・キルガー氏、カナダ国際人権弁護士のデービッド・マタス氏による講演内容の概要を次にまとめた。

▼中国政府の公式統計では年間1万件の臓器移植件数に対して、実際はその10倍を超える▼臓器の出所はウィグル族、チベット族、家庭教会、政治犯などの良心の囚人。その大部分は気功団体である法輪功愛好者で、収容人数が最も多く延べ数百万人に達するとみられる▼中国共産党主導のもと、全国規模で収容施設・病院が連携して行っているなど。

マタス氏は中国当局が関与する例として、2012年初頭、米領事館亡命未遂事件を起こし、後に収賄・職権乱用などの罪で15年の懲役刑を受けた元重慶市公安局長・王立軍氏のことに言及。王は在任中に臓器収奪を陣頭指揮した人物で、実験施設を立ち上げ、人を脳死させる機械を発明し、被害を広げたと指摘した。

一方、10年前から中国の臓器出所に疑問視し、調査に加わったイスラエルの心臓外科医ジェイコブ・ラヴィー氏は発足会で、自国では中国への渡航移植を含む、臓器提供に金銭が絡む移植を全面禁止する臓器移植法が2008年に成立し、違反する者に最長3年間の禁固刑を科する内容と経緯を紹介した。

ラヴィー氏によると、イスラエル同様法改正の動きはイギリスやカナダ、台湾、チリ、スペインなどの国に広がっており、日本は海外渡航移植に対して規制・監督を強化すべきだと促した。

会は今後、中国へ渡航し臓器移植を受けた日本人の情報を集め、事実解明を進めるとしている。会の代表は外交評論家の加瀬英明氏。

 
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