[26日 ロイター] – 今週は30日夜にトランプ米大統領が一般教書演説を行うが、昨年みられたような米株式市場への押し上げ効果はないとみられている。
昨年の演説の翌日、企業寄りの公約への期待が高まりS&P500は1.4%上昇していた。
今年の演説では成立した税制改革のほか、通商交渉、移民政策、インフラ歳出などに言及するとみられるが、企業減税期待で昨年から今年にかけて株価は大幅に上昇している。
ジョーンズトレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は、昨年と違い最近の市場はニュースで売りの展開になっており、S&P500は4日しか下げてないことから、(一般教書の翌日の)31日は、それ以前に下げていなければ下落する可能性が高いとの見方を示した。
トランプ大統領が移民政策にどのような姿勢を示すかも注目されている。レーデンバーグ・タルマン・アセット・マネジメントのフィル・ブランケート最高経営責任者(CEO)は、移民や通商政策などでは言葉を慎重に選ぶとした上で、タイトな市場で労働力を拡大するには寛容な移民政策をとることが最も容易、との見方を示した。
一般教書では、トランプ大統領が24日に明らかにした今後10年で1兆7000億ドル規模のインフラ投資の詳細が公表される見通し。ただ工業株や素材株への押し上げ効果は限定的とみられている。
過去のデータからも一般教書演説の株価への大きな影響度はそれほどみられない。演説がテレビ中継されるようになった1965年以降、翌日の株価が1%以上動いたのは15回に過ぎない。演説前の取引で1%以上の値動きになったのは13回となっている。
ブランケートCEOによると、政策をめぐる発言内容はファンドマネジャーよりも個人投資家の投資に影響するとし、自身は演説をもとに資産配分を変更するつもりはない、と述べた。
市場は政治的な動きよりも、引き続き好調な経済指標が企業決算に注目するとみられている。
パー・スティアリング・キャピタル・マネジメント(テキサス州オースティン)のディレクター、ロバート・フィリップス氏は、中国との貿易戦争や核開発をめぐる北朝鮮との対立などの大きなテーマでなければ、「政治の問題が世界的な景気回復や企業業績の改善などと同等の重要性をもつとは思えない」と述べた。