[モスクワ 31日 ロイター] – ロシア通信(RIA)によると、ロシアのマチェゴラ駐北朝鮮大使は、北朝鮮への原油および石油精製品の供給を減らすべきではなく、供給を打ち切れば、北朝鮮はこれを「戦争行為」と解釈するとの見解を示した。
国連安全保障理事会と米政府は、北朝鮮による核・ミサイル開発を阻止するため、同国への制裁措置を相次ぎ導入している。この中には原油や石油精製品の供給制限が含まれる。
マチェゴラ大使はRIAのインタビューで、北朝鮮への原油・石油精製品の供給について「われわれはこれ以上、供給を減らすことはできない」と語った。
また、国連が認めている北朝鮮への供給枠に基づき、原油は年間54万トン程度が中国から供給、石油精製品は年間6万トン程度がロシア、中国などから供給されると明らかにした。
大使はこの供給枠について「北朝鮮の国民約2500万人にとっては微々たる量だ」と述べ、燃料不足は深刻な人権問題につながると指摘。北朝鮮政府が昨年12月に安保理が採択した追加制裁を「戦争行為」と非難し、制裁を支持した国に報復すると警告したことに言及した。
米国は先週、対北朝鮮制裁の強化を発表、制裁対象に北朝鮮の石油省を加えた。
北朝鮮はこれを非難。ロシアのモルグロフ外務次官は、米国が策定した制裁措置にロシアは従う義務はないとの考えを示した。
RIAによると、マチェゴラ大使は、ロシア政府が国連の制裁決議に違反して、北朝鮮にロシア経由での石炭輸出を認めているとの米政府の主張を否定。「われわれが(米政府が示す)証拠を再度確認したところ、言及された船舶はロシアの港に入っていないか、入った場合でも北朝鮮とは無関係の貨物を運んでいたことが分かった」と述べた。
ロイターは先に、欧州情報筋の話として、北朝鮮が昨年8月の国連安全保障理事会の制裁決議で石炭輸出が禁止された後に、ロシアを経由して日本と韓国に石炭を輸出していたと伝えた。