[東京 1日 ロイター] – ANAホールディングスは)事業の営業利益を2022年度に17年度予想の70億円から約2.9倍の約200億円へ増やす計画だ。芝田浩二上席執行役員が1日の中期経営計画の会見で明らかにした。需要拡大が見込まれるアジア市場での中距離路線の展開などにより、22年度のLCC事業の売上高は17年度予想の960億円から倍増を見込む。
具体的な就航都市はまだ検討中だが、20年をめどにインドの一部や東南アジアなどのアジア全域での中距離路線の就航を計画する。傘下のLCCであるバニラエアとピーチ・アビエーションとの連携を強化し、国内線の収益拡大も狙う。
アジアでの中距離路線では、航続距離の長い小型機を活用し、スタート時は片道7時間半から8時間程度の路線とし、将来的には中型機で片道9時間で飛べる路線も想定しているという。芝田上席執行役員は「バニラとピーチのどちらで運航するかは検討中」とし、両社の経営資源やネットワーク戦略を総合的に勘案したいと語った。
中計で掲げた22年度のグループ全体での経営目標としては、営業利益率を17年度予想の8.3%から9%へ引き上げる。売上高は17年度予想比27%増の2兆4500億円、営業利益は同38%増の2200億円を目指す。
機材については、LCCで中距離向け機材の新規購入も検討、17年度から20機増の約55機、全日空としては247機から約280機に増やし、22年度に計約335機を計画する。
貨物事業では、22年度までに航空機エンジンや自動車などを輸送できる大型の貨物専用機を新たに導入し、アジアー北米間の需要を取り込む。
<4―12月期収益は過去最高に>
同日発表した17年4―12月期の連結決算によると、売上高、営業利益、純利益いずれも同期として過去最高を更新した。18年3月期(17年度)通期の業績予想は従来のまま維持する。
4―12月期の純利益は前年同期比76.7%増の1530億円、売上高は同11.9%増の1兆4908億円、営業利益は同27.4%増の1660億円だった。営業利益は通期予想の1600億円をすでに上回ったが、通期予想は維持した。
トムソン・ロイターが集計したアナリスト11人の通期営業利益予想は1737億円となっている。
会見した福澤一郎執行役員は、通期予想を維持した理由について、通期予想は「到達できる前提」とした上で、時期によって山谷のある整備費をどうマネージしていくかがずっと経営の課題としてあり、「将来を見据えてコストの平準化、キャッシュの抑制のためのプログラムを検討中で、第4・四半期でその費用が一定程度出る。ただ、将来必ずプラスに効いてくるプログラムだ」と説明した。
(白木真紀)