米予算教書、国防費拡大や「壁」建設費要求 社会保障などは圧縮

[ワシントン 12日 ロイター] – トランプ米政権は12日、4兆4000億ドル規模に達する2019会計年度(18年10月─19年9月)の予算教書を公表した。国防予算の拡大に加え、大規模なインフラ投資に向けた拠出、メキシコ国境の「壁」建設費などが盛り込まれた。

同時に、議会の財政保守派に配慮し、今後10年で財政赤字を3兆ドル超削減するため、非国防費の大幅削減を提案した。

ただ、前週議会で可決された予算法案は今後2年間で国防費、非国防費を含む歳出上限を3000億ドル引き上げる内容となっており、予算教書が打ち出した歳出削減と相いれない。今回提案された19会計年度の歳出規模は、予算法案が認める水準を570億ドル下回った。

予算教書はあくまでも大統領が議会に予算案の編成方針を示すもので、予算作成の最終的な権限は議会にある。

歳出削減に向け、予算教書はメディケア(高齢者向け公的医療保険)とメディケイド(低所得層向けの医療保険)の効率化を打ち出した。

一方、今後10年で進める1兆5000億ドル規模の官民インフラ投資向けには2000億ドル、、「壁」建設費を中心とする国境警備強化や不法移民対策で230億ドル超、国防関連では7160億ドルを要求。

「壁」建設費は向こう2年で180億ドルを求めた。医療用鎮痛剤「オピオイド」依存症の治療プログラム向けに向こう2年で130億ドルの拠出を提案した。

国境警備に関しては、移民税関捜査局(ICE)の職員などを2000人増やすのに5億7100万ドルの追加支出を盛り込んだ。

経済成長率は、向こう3年にわたり毎年3%以上と高めを見込む。高めの成長率は、昨年末に成立した1兆5000億ドル規模の大型減税による減収を埋めるのに必要。

下院予算委員会の民主党トップ、ジョン・ヤーマス議員は提案された歳出削減を批判。声明で「重要な連邦支出の削減は余りにも極端。勤労世帯を見下した内容で、強固な社会へのビジョンを完全に欠いている」とした。

また、インフラ投資計画を巡っては、民主党が求めていた規模の新たな連邦政府支出が盛り込まれていないほか、財源の確保についても明確にしておらず、議会で十分な支持を獲得できるか課題が残されている。

 
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