北朝鮮はこれまでに合わせて6回の核実験を行いました。国連の独立監視団がまとめた機密報告書によると、昨年、中国、ロシア、シリアは国連制裁決議に違反し、北朝鮮に石炭、化学兵器、ミサイルなどを輸出。北朝鮮はおよそ2億ドルを稼ぎました。
ロイターの報道によると、国連独立監視団が安保理北朝鮮制裁委員会に213ページに及ぶ機密扱いの報告書を提出しました。報告書によると、北朝鮮は最新の制裁決議案を無視し、書類を偽造してロシア、中国、韓国、マレーシア及びベトナムなどの港湾に石炭を輸出しました。
北朝鮮は2017年1月から8月5日までの間、中国、ロシア、マレーシア及びベトナムなどに計16回石炭を輸出。そのうち、マレーシアが国連安保理に報告した1回の取引を除いて、残りの15回は全て国連制裁決議案に違反しています。
2017年8月5日、国連安保理は北朝鮮への石炭輸出を禁止する制裁決議案を新たに採択しました。報告書によると、8月5日以降も、北朝鮮は中国、ロシア、韓国、ベトナムに延べ23回石炭を輸出しました。
書類に石炭の原産地をロシアや中国と記すなどの手口が主に使われているといいます。
在米中国語政論誌「北京之春」 胡平・編集長
「中国当局が対北朝鮮制裁を本気で実施したことは一度もありません。表向きには制裁すると言いながら裏では取引を続けています。中国の支援がなければ、北朝鮮経済はとっくに破綻しています」
台湾国立政治大学国際関係研究センターの厳震生(げん・しんせい)・主任は、中国当局の対北朝鮮の姿勢は、はっきりしているとみています。
台湾国立政治大学国際関係研究センター 厳震生・主任
「北朝鮮の核開発を阻止することができないので、挑発行為を控えさせるためいわゆる「双暫停」を要求しています。他にできることがないので、「双暫停」を呼びかけているのです」
アメリカの中国語正論誌の胡平(こ・へい)編集長は、これは中朝両国のギクシャクした関係がもたらした結果であり、中国当局にとって北朝鮮は重荷であると同時に、資産でもあると指摘します。
北朝鮮に対する中国当局の不透明な態度をめぐって、アメリカ政府はかつて、中国は国連制裁を着実に実行していないとけん制しました。先月、アメリカ財務省は北朝鮮との貿易に従事する中国企業2社をも、制裁対象に加えました。