[ロンドン 27日 ロイター] – 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と父親の故・金正日氏が1990年代に、西側諸国のビザを申請するためブラジルのパスポートを不正取得していたことが分かった。西欧の治安当局筋5人がロイターに対し明らかにした。
金一族は偽名の旅券を使用していたことが分かっているが、具体的に判明した例は少ない。今回ロイターが確認したブラジルのパスポートのコピーは、これまで公開されていなかった。
西欧の治安担当者は匿名を条件に「一族はこれらのブラジルのパスポートを使用していた。明らかに正恩氏と正日氏と認められる写真が貼付されており、外国の大使館からビザを取得することが目的だったとみられる」と説明。「金一族には海外へ移動する意向があったということになり、亡命ルートを確保しておこうとしていたことを示している」と述べた。
ブラジルの北朝鮮大使館はコメントを控えた。ブラジル外務省は調査中だという。
他の4人の西欧治安当局筋は、問題となっている2冊のパスポートが少なくとも西側2カ国のビザ申請のために使われたことを認めた。ビザが実際に発行されたかどうかは不明。
治安当局筋によると、パスポートはブラジル、日本、香港への渡航に使用された可能性があるという。
今回公表された2冊のブラジルのパスポートは10年有効で、プラハにあるブラジル大使館が1996年2月26日に発行したことを示すスタンプが押されている。治安当局によると、貼付された2枚の写真は顔認識技術により金親子のものと判定された。
正恩氏の写真が貼られたパスポートの氏名は「Josef Pwag」で、生年月日は1983年2月1日。正日氏の方は、氏名が「Ijong Tchoi」、生年月日は1940年4月4日となっている。本当の生年は1941年。
双方とも出生地はブラジルのサンパウロと記載されている。