世界巡回公演中の神韻芸術団は、1月下旬から2月初めまで8日間に渡る日本巡回公演を成功裏に終え、韓国に渡った。失われた中国伝統文化の復興を目指しニューヨークで結成された神韻芸術団。ニューヨーク・リンカーンセンター公演での公演は満員となり立ち見席が出るなど世界各国で賞賛を受けている。日本でも公演前からチケットが完売したところもでた。話題の舞台の様子を取材してみた。
1月26、27日の京都公演、2日目、開演時間30分前に京都の会場のロームシアター京都メインホールに入ると人で溢れていた。昨日の公演も全席完売だったようだ。知人からの紹介、またはSNSやWEBからの情報を得て来場した観客が少なくないという。人の波をかき分け席に着くと、オーケストラの音合わせが耳に入ってきた。神韻芸術団は東洋と西洋の楽器を融合したオーケストラが演奏する。「ジャーン」と大鑼(おおどら)の音が舞台に響き渡り、神韻公演が始まった。
色とりどりの美しい中国伝統の衣装。しなやかに躍動するダンサーたち。会場全体に豊かな音を響かせるオーケストラ。圧倒的な声量で観客の心を震わせる歌手。バックのスクリーンからは古代中国の景色やモンゴルの草原、また誰も見たことのない天上の世界が展開される。
全プログラムを通じて感じられたのは「一体感」だ。古典舞踊、オーケストラの伴奏どれをとってもアーティスト一人一人の技術はレベルが高く、見ごたえのあるものだが、それ以上にそれぞれの卓越したパフォーマンスとバックスクリーンの映像が融合し、今まで見たことのない舞台がまさに一体となって観客の眼前に繰り広げられる。表現は伝統文化に基づいたものであるが、先端技術を駆使した映画などよりもかえって新鮮なものに思える。孔子の有名な言葉に「温故知新」というものがあるが、まさにこの言葉の通りだ。
「バックスクリーンの映像に斬新な演出があり楽しめました」とインタビューに答えてくれたのは京都で日本舞踊、若柳流の師範をつとめる若柳京幸さん。豊かな伝統文化をつきつめて頑張りたいというのは日本舞踊も中国古典舞踊も同じだと感じたという。
取材をしていると観客には日本舞踊、茶道、バレエなど伝統芸能にたずさわる人も多い。東京公演では日本の国技、相撲の芝田山親方(元横綱・大乃国)にお話を聞くことができた。
「すばらしい!一つ一つの出し物がきれいですね。中国の古い時代から今に至るまでのことを演劇の中で伝えてくれる、心に残る素晴らしい演技でした。あとは動き、手の先から足の先まで、繊細な表現が素晴らしい。情景や風景も雄大です」。中国伝統文化の奥深さに感銘を受けたそうだ。
神韻公演を鑑賞して、神韻が表現しているものは中国伝統文化の煌めきだと感じると同時に自国の文化の表現を自国で見る事が出来ない事に対して単純な疑問が起きた。伝統文化に関しては現在の中国においては中国共産党により徹底的に否定され破壊されており、残念ながら神韻公演も中国で上演することができない。なぜことさらに古き良きものを破壊するのだろうか。
(文/大道)
(The Epoch Times Japanより転載)
http://www.epochtimes.jp/2017/02/26733-m.html