2017年2月2日、「神韻」日本公演は観客の拍手が鳴り響くなかで幕を下ろし、芸術団員たちは次の目的地・韓国へと向かう。日本の三つの都である東京、名古屋そして京都で行われた今年の公演は全て満席となり、東京公演に至っては立見席を設けるほどの人気ぶりだった。数多くの文化人や著名人が会場に足を運び、古典舞踊をはじめとする中国伝統文化に触れることで中国を改めて認識した。神韻は近現代の風塵に埋もれた中華文明の本来の姿を見事に再現し、中国本土では体験することができない珠玉のひと時を観客に届けた。
茶道師範「人間の生きる道を見出し、希望が湧いた」
「借景がすごく素敵でしたね。あんなに映像がきれいなのを舞台で見たのは初めてです。中国の昔の宮廷にあんなに素晴らしい踊りの文化があるということを初めて知りました」
取材に対し、中国伝統文化の神髄を再認識できたと話すのは、茶道裏千家東派師範であり、煎茶皇風禮式師範の大俵宗正先生。基本を重んじ、礼儀作法を重んじる茶道の師範として大俵先生は神韻芸術団員の基礎力を高く評価した。「人間の体が、しなやかに軽やかに跳躍するところとかあんなにできない。規律正しいこと、基本中の基本をきちっとやっていますね。何事も心棒がしっかりしている。やはり基本に徹するから、あれだけきれいなことができると思います。内容と歌とすべての幕、踊りの中に技術だけでなくすべての基本、生き方の哲学が入っているの。とてもよかったと思います」
一方で大俵先生は神韻の演出や音楽にとどまらず、神韻の伝えるメッセージをも汲み取り、次のように述べている、「世界中に文化ってありますけど 中国はわりあい仏教的なものもあるでしょ。哲学って基本じゃないですか それを観ることができるっていうことはみんなに見せたいわけ。ほんとに感動しました。言っていらしたじゃないですか。お金じゃないっていって。歌の中でね! いい歌じゃないですか」
「最後の場面で神仏から人間の生きる道を教えていただいて、希望が湧きましたよ。今の世の中、ひどい状態なのに、最後の最後は人間が力だっていうこと、人間が一人ひとりしっかり生きていくってことね」と言う大俵先生の顔には、自ずと微笑みが浮かんだ。神韻が復興を目指す中華伝統文化には、いかにして生きるべきかを伝える先人の知恵が詰まっている。伝統文化の復興を目指す神韻芸術団員にとって、大俵先生の言葉はうれしい限りだろう。
日本舞踊師範「来年は友人も誘って鑑賞したい」
日本文化ゆかりの地・京都。この古都で行われた神韻公演には着物で来場した女性も多く、伝統文化の息吹が感じられた。日本舞踊若柳流の師範・若柳京幸先生は初めて神韻を鑑賞し、団員たちの練度の高さを評価した。「一人ひとりの素晴らしい演技者の方たちとスタッフの皆さん、皆の力でここまでもってくるのが大変だと思いました。真ん中の一番良いお席で見せていただいたのでご苦労がすべて伝わってきました」
同じ伝統文化を受け継ぐ若柳先生は、「豊かな伝統文化をつきつめて頑張りたいというのは日本舞踊も中国古典舞踊も同じ」と述べて、五千年の伝統文化の復興を目指す神韻の使命に共通するものを見出した。
来年の公演について聞かれると、若柳先生は「来年は(友人を)何人か誘って見せていただきます」と答え、すっかり神韻のファンとなったようだ。
京都の芸妓・美恵雛さん「表現力の豊かさに刺激を受けた」
幼いころから稽古に励み歌舞の道に精通した美恵雛さんは、神韻のダンサーから刺激を受けたと話す。「体の使い方とか体の芯の取り方がとかがすごくきれいで感動しました」「みなさんすごく表情が豊かで、話がすごく伝わってくるような舞でした。表現することは私たちも難しいことですが、表現力の豊かさに刺激を受けてこれからもお稽古を頑張りたい」
日本茶屋の経営者の春富さんは神韻の演出があまりに綺麗で臨場感あふれるものだったと話した。「フワーという感じでした。もう本当に吸い込まれそうな感じになりました。みなさんが(劇に陶酔して)帰ってこないことが分かりました」
同じく日本茶屋を経営する大仲さんもご満悦の様子だった。「一人の舞踊ではないので、全体の協調性とか、バランス、色とか衣装も素晴らしくて、全てが何を取っても(良かった)、音楽もよかったです。生の音楽でしたので良かったです」
(The Epoch Times Japanより転載)
http://www.epochtimes.jp/2017/02/26745.html