[東京 1日 ロイター] – 安倍晋三首相は1日、参院予算委員会で、これまでの黒田東彦日銀総裁による金融政策運営は間違っていなかったとの認識を示した。大塚耕平委員(民進)の質問に答えた。
首相は、これまでの5年間の黒田総裁の金融政策運営について、物価目標の実現とともに雇用情勢の改善にも期待したと述べ、43年ぶりの高い有効求人倍率を実現したことなどを挙げ、「今までの黒田総裁のとってきた金融政策は間違っていなかったと思う」と評価した。
もっとも、物価2%目標は実現しておらず、「総裁には引き続き物価安定目標の2%に向けてしっかりと金融政策を遂行してほしい」と述べた。
黒田総裁は、現在の日本経済はデフレではない状況とし、景気拡大が続いているにもかかわらず、「依然として賃金・物価は弱めの動き」と指摘。その背景としてデフレ状況が長く続いたことで「デフレマインドが払拭されておらず、企業の価格設定はなお慎重」であることなどを指摘した。
足元では中長期的な予想物価上昇率も「弱含み局面を脱し、幾分上昇している」とし、「今後も予想物価上昇率の動向を注視する」と語った。
(伊藤純夫)