収益力向上へ対話深化、懸念あれば効率化も議論=日銀の18年度考査

[東京 13日 ロイター] – 日銀は13日、取引先金融機関を対象にした2018年度の考査の実施方針を発表した。低金利環境の長期化や人口・企業数の減少などを背景に地域金融機関を中心に基礎的な収益力の低迷が続く中、引き続き収益力の点検と評価に注力する。

将来的な収益力が懸念される先には、経営効率化策についても経営陣と対話を深める。

17年度考査では、充実した自己資本を背景とした金融機関の損失吸収力の高さが確認されたものの、低金利環境の長期化や金融機関間の競争激化、人口・企業数の減少などを背景とした収益力の低下傾向に変化はない。

こうした課題を踏まえ、18年度考査では引き続き、金融機関の収益力の点検と評価に力を入れる。

非金利収入を含め、中長期的に「持続性の高い利益」を確保するための取り組みについて経営陣と議論を行うほか、低金利環境が続く中で積極化しているリスクが高めの先に対する貸出や期間が長めの貸出などの信用リスク、自己資本や収益性とのバランスを考慮した市場リスク管理についても考査で確認する。

さらに、人口・企業数の見通しなど営業基盤の変化を踏まえた定期的な収益シミュレーションを行い、経営戦略や業務計画の妥当性を検証し、必要な見直しを行っているかを点検する。

将来の収益に懸念がある金融機関とは収益管理の適切性や収益向上策のほか、経営効率化策など「幅広い観点から、収益力の向上を促す対話を深める」方針だ。

また、地域金融機関の収益力や市場リスクに調査範囲を限定した「ターゲット考査」を18年度も継続する。市場リスク管理においては、運用計画に見合った体制整備ができているかや、内外金融市場の急変時における「経営陣への報告と意思決定プロセス」も点検する。

ターゲット考査は17年度から本格的に実施され、同年度は15前後の地域金融機関で行われた。18年度も同様のペースを維持する考えだ。

IT(情報技術)などを活用した新たな金融サービスの提供や業務改革によるオペレーショナルリスクへの対応状況なども点検する。

(伊藤純夫)

 
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