単独恒星で最遠の青色超巨星を観測、地球から93億光年

[ワシントン 2日 ロイター] – 米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡で、単独で観測された恒星としてはこれまでで最も遠く、地球から93億光年の距離にある青色超巨星を観測したとの研究結果が、科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された。

恒星の正式名は「MACS J1149+2223 Lensed Star-1」。科学者らは、太陽に近づきすぎて蝋と羽根で作った翼が溶け、海に落下したギリシャ神話の登場人物イカロスのあだ名を付けた。

イカロスは最大で太陽の100万倍の明るさを持ち、2倍の暑さとみられる。渦状銀河の中に存在し、ある種の星が寿命を終える際に発生する超新星爆発などを除いては、これまでに観測できた距離の100倍以上遠くにある。

これまで、銀河は観測できたが単独の恒星の観測はできていなかった。今回は、宇宙空間に存在する重い物質の重力で光が屈折し、より遠くの天体が拡大されて観測可能となる「重力レンズ」効果を活用して観測に成功した。

イカロスの観測によって、ビッグバンが発生した138億年前から見ると、現在の3分の1以下の年齢の時代の宇宙を知ることになる。

研究を率いた米ミネソタ大学の天文学者パトリック・ケリー氏は、「この観測により、宇宙がどんなふうだったかや、星がどのように発達するか、どのような性質かを、宇宙成立の最も早い段階、また第1世代の星の時代に遡って詳細に調査できるようになった」と述べた。

 
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