日銀支店長会議、景気判断2地域が引き上げ 広がる人手不足

[東京 12日 ロイター] – 日銀は12日、都内の本店で春の支店長会議を開催した。出席した支店長の報告からは、景気拡大の裾野の広がりが確認された一方、全国ベースで人手不足が一段と進行している実態が浮き彫りになった。先行きでは、米国の通商政策や為替変動を懸念する向きも目立った。

午後に公表した4月の地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域のうち6地域が景気の総括判断を「拡大」、3地域が「回復」と表現。全国ベースで景気の改善基調が続いている。

このうち四国と九州・沖縄の2地域が景気判断を引き上げた。四国の景気判断は、2014年1月調査以来横ばいを続けていたが、4年3カ月ぶりの上方修正。九州・沖縄も、百貨店の売上高が高額品を中心に全体として持ち直すなど、個人消費の改善が見られた。

一方、北海道は16年の台風被害後の復旧工事が一巡したことで、公共投資が減少に転じた。灯油の値上がりや野菜価格の高騰が相まって、個人消費も「このところ一部に弱めの動きがみられる」結果となった。こうした動きを受け、総括判断は「回復している」から「緩やかに回復している」に引き下げた。

今回の報告では、全国各地から人手や設備の不足という供給制約が一段と進行しているとする企業の声が多かったことが特徴だ。

東北地域の企業からは「機械を扱う人手不足により能力増強投資が難しくなってきている」(電気機械)との指摘もある。人手が足りないために、事業そのものが制約される構図だ。

支店長会議後に記者会見した松本順丈福岡支店長は、運転手不足で路線バスが減便された例などを示しながら、「人手不足が景気拡大のボトルネック(制約要因)にならないか注視していく必要がある」と述べた。

ただ、労働需給の引き締まりを背景とした人手不足は、賃金・所得の増加を通じて景気改善につながるとの見方もある。衛藤公洋大阪支店長(理事)は、現在の良好な経済状況において「プラスの側面の方が大きい」と指摘した。

一方、先行きについては、米国の輸入関税引き上げに伴う通商面への悪影響や、為替を含めた金融市場の動きを警戒する声が企業から寄せられた。

輸出企業の多い東海地域を管轄する名古屋支店の清水季子支店長は「米通商政策に関する不透明感や今後の影響については(企業が)懸念を示している」としつつ、輸出数量や企業収益といった直接的な影響については限定的との見方を示した。

(梅川崇)

 
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