日中外相会談、首脳の相互往来へ地ならし 北朝鮮も議論

[東京 15日 ロイター] – 来日中の中国の王毅外相は15日午後、都内で河野太郎外相と会談した。両外相は16日に8年ぶりとなるハイレベル経済対話も開く予定で、一連の会談を通じて関係改善の流れを加速させ、首脳同士の往来に向けた地ならしをする。

北朝鮮の非核化を協議するほか、米国が保護主義色を強める中、自由貿易の重要性についても意見を交わす。

王外相は会談の冒頭、「今回の訪日は、河野大臣、そして大臣の前任の何回かの訪中の答礼訪問でもあり、日本側が前向きな対中政策を取ったことへの答えでもある」と発言。「両国関係を持続的、安定的に改善させ、早期に正常発展の軌道に戻していきたい」と語った。

王外相の来日は、今年1月の河野外相訪中に続く動きで、9年ぶりに日中外相の相互往来が実現した。両国は日本が実効支配し、中国も領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)などをめぐり関係が悪化していたが、平和友好条約締結から今年で40年を迎え、改善の機運が高まっている。5月に予定されている李克強首相の訪日、その後の安倍晋三首相の訪中、さらに習近平国家主席の早期訪日の実現を目指す。

今回の会談では、3月の中朝首脳会談の結果を踏まえ、北朝鮮の非核化についても議論する。河野外相は、「北朝鮮の完全、そして不可逆的な、そして検証可能な非核化という日中両国の共通目標に向け、いっそう連携したい」と述べた。

16日には、2010年以降途絶えていたハイレベル経済対話も再開する。河野外相は「関係改善を進めながら、経済面での実務協力もいっそう深め、両国企業の交流を後押ししたい」と語った。自由貿易の重要性を確認するほか、中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」も議題になる見通しだ。

王外相の来日合わせ、日中は自衛隊と人民解放軍の佐官級交流も6年ぶりに再開する。15日から人民解放軍の少将や大佐など25人が来日する。

(久保信博 編集:田巻一彦)

 
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