[ワシントン/東京 22日 ロイター] – 麻生太郎財務相は米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見し、日米で通商交渉を巡って違いがあるのは事実との認識を示した。日銀の黒田東彦総裁は金融緩和を継続する姿勢を重ねて強調した。
麻生財務相によると、ムニューシン米財務長官には鉄鋼・アルミ関税で日本が対象から除外されなかった問題など保護主義に対する日本側の懸念を伝えた。
同時に「日本としては環太平洋経済連携協定(TPP)11が12(カ国参加)になることが望ましいとの立場。TPPという名前もしくはそういうものの形をよしとしないトランプ大統領との間に意識のずれがあることは、はっきりしている」と述べた。
通商交渉に関しては「構造的なものでやらないと効果がない。日本が輸出したものを上回るほどアメリカに投資している額が多い」と語った。「投資も含めて考えないといけない。貿易収支やモノの収支だけで考えるのはいかがなものか」と強調し、ペンス副大統領とムニューシン財務長官に伝えたことを明らかにした。
一方、為替については「経済全般の話の中に為替が入っていた。その程度の話。為替だけに的をしぼって話をしたわけではない」と述べた。
黒田総裁は「日銀は2%の物価目標が途半ばなので粘り強く強力な金融緩和を維持すると説明した」ことを明らかにした。「各国の中央銀行は、経済や物価動向にあわせて金融政策を正常化するのが適切だ」とも述べ、米利上げの影響に懸念はないとの見方を示した。
黒田総裁はまた「米利上げペースが加速するのではという思惑から米国の長期金利が急上昇したり、各国の株価が不安定な動きをする可能性があり、十分注視する必要がある」と語った。
(竹本能文、木原麗花)