[大阪市 26日 ロイター] – 任天堂7974.Tは26日、古川俊太郎常務が社長に昇格する人事を発表した。君島達己社長は相談役に退く。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が好調で、同社に勢いが戻ってきたのを機に経営の若返りを図る。
君島社長は交代の理由について、スイッチの立ち上げや任天堂の勢いを取り戻すという自身の役割を説明した上で、その達成が「100%とは言わないが、ある程度見えた」からと説明。「当初考えていたタイミングよりも(交代が)少し早まった。それだけ勢いがついてきた」と先行きに自信を示した。
一方、次期社長に就任する古川常務は「任天堂の良いところを引き継ぎつつも、時代の流れに合わせ、変えるべきところは柔軟に変えていく。任天堂が大切にしている独創性と柔軟性を両立させながら誠実に取り組んでいく」と意気込みを示した。
ただ「今回の役員人事はここ数年、君島(社長)や宮本(フェロー)が進めてきた次世代の集団指導体制への移行であり、この人事により、現在任天堂が進めている経営戦略が変わることはない」とも付け加えた。
6月28日開催の定時株主総会とその後の取締役会の決議を経て、正式決定する。
<スイッチ2000万台を計画>
任天堂は同日、2019年3月期(日本基準)の営業利益は前年比26.7%増の2250億円を見込んでいると発表した。スイッチの大ヒットで、2010年3月期以来9年ぶりの高水準となる見通し。
ただ、会社予想はトムソン・ロイターが調べたアナリスト21人の予測平均値3087億円を大きく下回った。
売上高は前年比13.7%増の1兆2000億円を予想。営業利益と同様に2010年3月期以来の高水準となる。
今期のスイッチ販売はハードが2000万台、ソフトが1億本を計画。前期はそれぞれ1505万台、6351万本だった。
業績予想の前提となる為替レートは1ドル105円、1ユーロ125円。
古川常務は「スイッチは順調に立ち上がったが、まだ普及台数の面で不十分なところがある。この勢いを持続、拡大させていくことが最優先課題だ」と指摘。ただ「スイッチビジネスの割合がかなり高くなっており、スマートデバイスビジネスなどの存在感を高めるようにしていかないといけない。どのような商品も必ず飽きられるので、その準備をしていくことが私がやらなければいけないことだ」とも述べ、スイッチ以外の育成にも力を入れる考えを示した。。
2018年3月期の売上高は前年比2.1倍の1兆0556億円で、スイッチの割合は7割超に達している。一方、スマートデバイスやIP(知的財産)関連収入は拡大しているものの、売上高に占める割合は3.7%にとどまっている。
同期の営業利益は同6.0倍の1775億円だった。