[東京 10日 ロイター] – 日中韓3カ国は9日、都内で2年半ぶりとなる首脳会談を開いた。3首脳は北朝鮮の非核化へ向け協力していくことを確認したものの、安倍晋三首相が訴える圧力路線の継続を含め、完全に認識が一致したかどうかは不透明感が残った。
会談には安倍晋三首相、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領が出席した。2年半ぶりとなる今回の日中韓首脳会談は、4月下旬の南北首脳会談の直後かつ、米朝首脳会談を控える時期に当たった。
3首脳は1時間半の会談の多くを北朝鮮問題に割き、核・弾道ミサイル開発計画を完全で検証可能な、不可逆的な方法で廃棄するため、安保理決議に従って具体的な協力を進めることで一致した。安倍首相は会談後の記者発表で、「累次の安保理決議を完全に履行する。日中韓3カ国の共通の立場である」と強調。「諸課題の解決に向け、今後とも3カ国で協調して行動していく」と語った。
安倍首相はかねてから、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を取るまでは圧力をかけ続けると訴えてきた。一方で、韓国と中国は今年に入って北朝鮮との対話を始めており、対応にズレがみられ始めている。
記者発表で中国の李首相は「中国は終始、建設的な役割を果たしたい」と発言。韓国の文大統領は「朝鮮半島の非核化と恒久的な平和の定着、南北関係の改善が半島のみならず地域の平和に重要であるとの認識をともにした」と述べ、両首脳から北への厳しい言葉は聞かれなかった。
会談に同席した西村康稔官房副長官は、圧力路線について3首脳は認識を共有したかどうか報道陣から繰り返し問われ、制裁を義務付けた国連安保理決議に従うことで一致したとだけ回答。「具体的なやり取りは控える」とした。
日本人拉致問題については安倍首相が解決に向け協力を呼びかけ、李首相と文大統領の理解を得た。李首相は、日朝首脳会談の開催に期待を表明した。李首相は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による7─8日の中国再訪についても日韓首脳に説明した。
米国が保護主義色を強める中、3首脳は自由貿易体制を維持することの重要性についても議論した。日中韓の自由貿易協定(FTA)、東南アジア諸国なども含めた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を加速することで一致した。東アジア全域を視野に3カ国でインフラ建設の協力をしていくことも申し合わせた。