[東京 11日 ロイター] – マツダ<7261.T>は11日、丸本明副社長(60)が社長に昇格し、小飼雅道社長(63)が会長に就くトップ人事を発表した。いずれも6月26日開催の株主総会後の取締役会で正式に決定し、就任する。金井誠太会長(68)は退任する。
丸本副社長、小飼社長は同日夕に都内でそろって会見した。丸本氏は社長就任後に取り組む課題について、「中長期的にみて課題は多くあるが、足元を考えると、ここ2―3年、マツダの稼ぐ力は低下しており、その解決が最重要課題」と指摘。特に米国が収益面やブランドイメージの点で最重要市場との認識を示した。
現在、丸本氏は社長補佐を務め、米国事業などを統括。トヨタ自動車<7203.T>との資本業務提携での交渉でも、小飼社長と行動を共にし、実務に深く関わっている。同氏は、トヨタとは「継続的な協業」を考えており、「ウィン・ウィンの関係がみえたら今後も関係を拡大させたい」と話し、トヨタ側には「単独では技術やお金の面でできないこと」を提案していると語った。
さらに丸本氏は、自動運転や電動化など新領域への対応は「マツダは大丈夫かとよく聞かれるが、それを議論する前にマツダの存在意義・強み・独立性を評価していかない限り、マツダのブランドは決して成長しない。そこは何があろうともぶれずにやりたい」と強調した。その上で、「選択と集中をしつつ、単独でできないところは協業パートナーやサプライヤーと連携する」との考えを示した。
丸本氏は広島県出身で、1980年に東洋工業(現:マツダ)に入社。欧州開発・生産担当のほか、経営企画、商品企画、財務など幅広い経験を持つ。99年から取締役、13年から副社長を務める。同氏は自身について「厳しくて極めて短気な性格」といい、社長就任後は自分と他人の意見とのバランスを取り、役員とは真摯に腹を割って話し合い、決めたら実行する経営スタイルを目指したいと述べた。
小飼社長は、丸本氏について「仕事ぶりは優秀。周りへの目配り、配慮は見た目以上に素晴らしく、非常にきめ細かい」といい、偏りなく意見をくみ取り、「フェアな振る舞い・言動をする」と評価した。
小飼社長は2013年の就任以来、構造改革を推進。4月の決算では中期戦略を打ち出し、次の成長ステージへの道筋をつけた。丸本氏に最高経営責任者(CEO)の任務も譲り、小飼社長は今後、代表権のある取締役会長として経営を支える。金井会長の後任として、対外的な仕事や海外パートナーとの関係強化などに従事する。