「台湾を中国と表記せよ」航空各社に求める中国政府、米政界から批判高まる

中国民用航空局(CAAC)が36の外国航空会社に対し、台湾を中国の一部と表記するよう通知書を送った問題で、米政界から批判が高まっている。

ユナイテッド航空、アメリカン航空など米大手航空会社が同通知書を受けたとみられる。

通知書は「期限内に応じない場合、対策をとる」と制裁を匂わせた。

ホワイトハウスのサンダース報道官は5日、そのようなやり方は個の自由や利益を制約する全体主義国家そのものだ、と非難する声明文を出した。

米国務省は今月初旬、事実関係を踏まえ、中国政府に接触して「強い懸念」を表明したとしている。

下院外交委員会アジア太平洋小委員会のヨーホー委員長はツイッターで「中国共産党が政治理念を国際社会に広めたり合法化させたりするのに、米企業を巻き込むのは言語道断だ」とコメントした。

米国営放送ボイス・オブ・アメリカ (VOA)によると、ヨーホー委員長は中国政府の通知書が届けられた米航空会社各社に、妥協しないことを促す書簡を送った。

ルビオ共和党上院議員は10日の議会で、政治理念を各国政府や企業に浸透させ、影響力を強めている中国政府は今後40年間にわたって、アメリカの最大の脅威になると警鐘を鳴らし、パナマや、ドミニカ共和国などが中国の投資を受けてから、あいつぎ台湾と外交関係を絶った事例を挙げた。

上院外交委員会東アジア大西洋小委員会のガードナー委員長はVOAの取材で、「世界を制覇しようとする中国政府のやり方にはうんざりだ」と述べた。

いっぽう、VOAは「議員らが米企業を後押しするものの、バックアップする具体策をほとんど打ち出していない」と評した。

通知書を受けた同米航空大手2社の英語版公式サイト上では現在も、台湾に関する表記は「Taiwan」のままで、「China」の文字は加えられていない。いっぽう、デルタ航空は今年はじめに、中国当局の是正勧告に応じた。

では、日本の航空各社はどうなっているのか。

JALの公式サイトでは、「中国・香港・台湾」が一つの地域グループに束ねられている。ANAの公式サイトでは、台湾が単独地域グループで中国と関連づける表記はない。両社が中国当局の通知書を受けたかどうかは不明だ。

 
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