[ニューヨーク 30日 ロイター] – 北朝鮮・朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が30日、米ニューヨークに到着した。30日夜と31日にポンペオ米国務長官と会談し、米朝首脳会談に向けた協議が行われるもよう。ただ、最大の焦点である北朝鮮の非核化を巡る双方の意見の隔たりはなお残るとみられる。
史上初の米朝首脳会談は当初、6月12日に予定されていた。しかしトランプ米大統領は先週24日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に宛てた書簡で、首脳会談を中止すると通告。翌日は思い直したと発言し、両国の当局者が会談に向けて協議していると話した。
ポンペオ長官は金英哲氏との対面前にツイッターに投稿。「ニューヨークで金英哲氏と会い、米朝首脳会談に向けて話し合うことを楽しみにしている」とした上で、「われわれは完全で検証可能かつ不可逆的な(方法での)朝鮮半島の非核化を目指している」と書き込み、トランプ政権の方針を強調した。
ホワイトハウス報道官は30日、米朝首脳会談の実現に向けた韓国と北朝鮮の軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)で進められている協議は順調で、首脳会談は6月12日に行われる公算が大きいとの見方を示した。
米当局者が匿名を条件に語ったところでは、米朝首脳会談の議題を巡るこれまでの協議に大きな進展はなく、北朝鮮の非核化の定義と、北朝鮮の非核化とその見返りとして米国が経済支援などを行う時期が同時なのか、別々なのかという2つの大きな論点で議論が決着していない。
同当局者によると、米国としては、北朝鮮が経済支援や制裁緩和などの措置を受ける前に非核化の完了に合意することを求めている。一方、北朝鮮側は、非核化の誓約だけでまず経済支援の道が開かれるべきとの姿勢でポンペオ長官との協議に臨んでいるという。
韓国の聯合ニュースによると、韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は30日、非核化を巡る米朝の意見にはまだ「かなり大きな」隔たりがあり、その解消は容易ではないが、双方が歩み寄る可能性はあるとの考えを示した。