米個人消費支出、4月は5カ月ぶりの大幅な伸び

[ワシントン 31日 ロイター] – 米商務省が31日発表した4月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.6%増と、市場予想の0.4%増を上回った。5カ月ぶりの大幅な伸びだった。経済が第2・四半期初めに勢いを取り戻しているさらなる兆しとなった。物価は引き続き、安定的に上昇した。

MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「消費支出が加速しつつあるほか、労働市場が引き締まる中、インフレも底堅さを保つ。大衆迎合主義(ポピュリズム)や貿易保護主義で、世界の他地域に不確実性の兆しがみられるが、米連邦準備理事会(FRB)は年内、緩やかな利上げ方針を維持する公算が大きい」と話した。

3月の個人消費支出は当初発表の0.4%増から0.5%増へ上方改定された。

4月はガソリンやその他のエネルギー製品の増加が押し上げ要因だった。

内訳は、非耐久財が0.9%増。サービスは0.5%増加した。電気・ガスの需要がサービスの押し上げ要因だった。

個人消費支出(PCE)価格指数は変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%上昇。3カ月連続で0.2%上昇した。前年同月比は1.8%上昇した。コアPCEの前年同月比はFRBが物価の目安としている。FRBの物価目標は2%だ。

エコノミストらは、コアPCEが向こう数カ月間でFRBの目標に届くとみている。FRBは3月に利上げした際に、年内にあと2回利上げする見通しを示しており、6月の次回会合でも金利を引き上げるとみられる。

物価上昇圧力が緩やかだったことも、個人消費の押し上げ要因だった。インフレ調整後の実質消費支出は4月に前月比0.4%増だった。3月は0.5%増加していた。個人消費支出は第1・四半期に年率換算で1.0%増と、約5年ぶりの弱い伸びとなったものの、ここにきて勢いが加速していることを示唆する。

貿易や製造業生産の統計も底堅く、好調な個人消費支出と合わせてエコノミストらは経済成長が第2・四半期に加速するとの見方を強めている。第2・四半期国内総生産(GDP)の予想値は3.0%増超だ。第1・四半期GDPは2.2%増だった。

4月の個人所得は0.3%増。3月は0.2%増だった。賃金は0.4%増。貯蓄は4196億ドルと、3月の4457億ドルから減少した。貯蓄率は2.8%と、3月の3.0%から低下した。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ(ペンシルバニア州)の首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「この水準で消費が伸び続けることが可能かというのが本当の問題だ。所得の伸びが加速しない限り、可能だとは思えない」と語った。

 
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