[ウィスラー/東京 1日 ロイター] – カナダ西部ウィスラーで開幕した主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席した麻生太郎財務相は、現地で記者団に対し、保護主義に傾く米国に懸念を表明した。世界貿易機関(WTO)への提訴については「今の段階で決まっていない。色々準備はしている」と述べ、今後検討を進める可能性に言及した。
麻生財務相は、米国が鉄鋼やアルミニウムの輸入制限を発動したことは「きわめて遺憾」との認識をあらためて示した。
その上で「一方的な保護主義的な措置による内向きな政策は、どの国の利益にもならない。自由で公正な貿易を通じ、世界経済の成長を高めることが重要」と強調。カナダがWTOへの提訴手続きを開始したことを踏まえ、日本も歩調を合わせるかは明言を避けたが、「流れをみてから検討する」と語った。
足元の経済動向に関しては「米国の金利上昇で一部の新興国通貨の下落がみられているが、影響の連鎖が想定されるものではない」との見方を示した。「新興国の強靭(きょうじん)性は、これまでより強化されている」との認識も併せて示した。
同行筋によると、イタリア発の金融危機の可能性に関する言及はなかった。
(木原麗花、竹本能文)