物価上昇の鈍さ、失業率低下が不十分なため=原田日銀審議委員

[金沢市 4日 ロイター] – 日銀の原田泰日銀審議委員は4日、石川県金沢市で講演し、物価上昇の足取りが鈍い要因について「失業率の低下が不十分だということに尽きる」と述べた。その上で、雇用と生産に拡大余地がある以上、物価2%目標の達成に向けた現行政策の継続が必要と指摘。追加緩和は物価上昇の勢いが失われた時に講じる考えを示した。

物価の先行きに関して、原田委員は「景気回復が続けば、雇用がひっ迫し、やがては上昇していくはず」と予測。構造失業率を、かつて推計されていた3.5%とするのは「全くの誤り」と指摘した。

就業率の上昇余地があることから「物価を上昇させる失業率がさらに低下している可能性もある」と分析し、物価目標の達成には現状の失業率のさらなる低下が必要と強調した。人手不足を背景とした企業の生産性向上が、物価上昇を遅らせることにも触れた。

原田委員はまた、「市場との対話」を巡る問題点に言及した。「抽象的な市場というものがあるわけではなく、そこに集まっているのは利害関係者だ」と述べた上で、政策運営に当たっては利害関係者の意見にバランスよく耳を傾ける必要があるとの見解を示した。

市場の一部からは早期の金利引き上げを求める声が出ているが、原田委員は、実際に金利を引き上げれば、株価の下落や円高を招いて「金融機関は大きな打撃を受けるだろう」とも語った。

金利とイールドカーブの関係については「その時々の経済情勢や市場の金融政策への見方によって異なる」とした。

(梅川崇)

 
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