[チェンライ(タイ) 11日 ロイター] – タイ北部チェンライ県のタムルアン洞窟に2週間以上閉じ込められ、10日までに救出された地元サッカーチームの少年とコーチ計13人は、平均2キロ体重が減っているものの、健康状態はおおむね良好だと、当局者が11日明らかにした。
ストレスを受けた兆候も見られないという。
11─16歳の少年12人と25歳のコーチは先月23日、ひとりの少年の誕生日を祝うためミャンマーとの国境に近い洞窟に入った後、豪雨で水位が上昇したため出られなくなった。
捜索にあたった英国人ダイバーらによって2日、全員の無事が確認され、8日から救出活動が開始された。世界中の注目を集めた困難な脱出作戦によって、同日少年4人が救出されたのに続き、9日に4人、10日に残る5人が救出され、作戦は成功裏に幕を閉じた。
最後に救出された5人は、ヘリコプターで約70キロ離れた病院に搬送され、先に到着して治療を受けていたチームメートに合流した。
「われわれの見立てでは、彼らの状態は良好で、ストレスを受けた様子もない。少年たちは洞窟内で、十分にケアされた状態だった。彼らは平均で2キロ体重が減少した」と、タイの保健当局者は記者団に話した。
8日に救出された少年4人の親は、すでに病院で子どもたちと再会を果たしたが、感染を防ぐため保護服を着て、2メートル距離を置かなければならなかったという。
10日救出された5人のうち1人は、肺に感染症の症状が出ており、13人全員が狂犬病と破傷風の予防接種を受けたという。
タイのメディアは、少年らの救出のニュース一色となった。
紙面には「野生のイノシシ全員救出」の見出しが躍り、「Hooyah!任務達成」と、救出にあたったタイ海軍特殊部隊(SEAL)が使う掛け声を使って救助作戦の成功を宣言した見出しもあった。
救出にあたったタイ海軍SEALはフェイスブックに 「奇跡か科学か、何なのかは分からないが、13人全員が洞窟を出た」と投稿し、全員無事だと付け加えた。
17日間におよぶ救出作戦を指揮したチェンライ県のナロンサック・オサタナコーン元知事は、医師やタイ海軍特殊部隊(SEAL)のダイバーら救助に関わった全員が無事に洞窟を離れたことを確認、「誰も可能だと思わなかったことを成し遂げた」と語った。救出にあたった多国籍のチームに言及し、「ヒーローは世界中の人々だ」と付け加えた。
救助作戦に参加したオーストラリア警察当局者は、「人間の可能性というものは素晴らしい。素晴らしい人たちが、素晴らしい仕事をなしとげた」と、チェンライで記者団に話した。