[ロンドン 16日 ロイター] – 英国のメイ首相は16日、自身が提示した穏健な欧州連合(EU)離脱(ブレッグジット)方針を巡り、与党内の強硬離脱派の圧力に屈し、「関税法案」に関する4項目の修正を受け入れた。これを受けて同法案は下院で可決された。
下院は同法案を賛成318、反対285の賛成多数で可決した。議会では与党・保守党内の強硬離脱派と穏健派の対立が深まっており、EUとの離脱交渉の進展を阻む要因となっている。今回の譲歩によって、メイ首相の穏健路線が根本的に変更されることはないとみられるが、首相の議会での弱い立場が浮き彫りになった。
首相報道官は、今回の修正は法案の成立を確実にした以上の意味はないとの見解を示した。
ただ、修正案では英国とEUが将来的に対等な立場で関税や税金の徴収を行うことが強調されており、一部の議員はEUがこの提案に難色を示す可能性を指摘した。
特に、英国が英国境でEUの代わりに(EUの)関税を徴収する場合は、EUにも英国の代わりに関税を徴収するよう求める内容となっており、ある専門家は、EUの交渉担当者が受け入れる可能性は低いと分析した。
一方、今回の修正によって、保守党内の対立が解消される兆しはない。国防省のガット・ベブ閣外大臣は修正案に反対票を投じた後に辞任を表明。メイ首相の離脱方針を巡って主要ポストを辞任した保守党メンバーは10人目となった。
首相報道官は、今月初旬に内閣で合意したブレグジット方針をまとめた白書と整合性が取れているとし、修正の要請を受け入れる決定に至ったと説明。
報道官はまた、いかなる状況になっても、ブレグジットの是非を問う国民投票を再度実施することはないと強調した。
メイ首相は議会で、離脱方針を堅持する立場を強調。「(内閣の)合意を取り付けるのに要した労力を考えると、法案を通じて変更されることは容認できない」と表明した。
*内容を追加しました。