日の丸交通とZMPが自動運転タクシー営業実験、特定ルート走行

[東京 18日 ロイター] – タクシー大手の日の丸交通(東京・文京)とロボット開発ベンチャーのZMPは18日、東京都心の公道で自動運転車両を使ったタクシーの営業走行実験を来月から行うと発表した。走行ルートは限られるが、両社によれば、タクシー会社が客を乗せて自動運転タクシーを営業走行するのは世界初。

両社は実験で乗客の声を集め、目標とする2020年の自動運転による無人タクシー実用化に生かす。

実験ではZMPが開発した自動運転車両と予約システムを使い、日の丸交通が自動運転タクシーによるサービスを8月27日から9月8日までの約2週間行う。三菱地所<8802.T>と森ビルも協力し、両社が運営する施設をタクシーの発着場所として提供。千代田区の「大手町フィナンシャルシティ・グランキューブ」から港区の「六本木ヒルズ」まで、片道約5.3キロメートルを1日4往復する。

タクシー車両としてトヨタ自動車<7203.T>のミニバンを用い、ZMPが開発した自動運転システムやセンサーなどを搭載。自動で車線変更や右左折、停車などを行い、システムが運転する。ただし、緊急時に人が介入できるよう、運転席には日の丸交通の運転手、助手席にはZMPのオペレーターが同乗したまま運行する。

運賃は片道1500円を予定。走行ルートは通常のタクシーが走る場合の最短距離に比べて遠回りになるため、割安な運賃にした。乗客はウェブサイトで募り、スマートフォンでZMPが開発したアプリから自動運転タクシーの予約・配車・料金決済を行う。

タクシー業界では高齢者や訪日外国人、過疎地での交通弱者の利用が見込まれるが、運転手の高齢化や人手不足が課題となっている。日の丸交通は運転手のサポートが必要な顧客の多いルートなどには従来通りの有人タクシーを、自動走行に適した限定的なルートには自動運転タクシーを導入して運転手不足を補い、サービス向上やコスト削減を図る。

同日会見した日の丸交通の富田和孝社長は、利用拡大と運転手不足の需給バランスの崩れを解消するため「自動運転を味方にしたい」とし、タクシー事業会社は「ライドシェアとは共存できないが、自動運転技術とは共存できる」と語った。ZMPの谷口恒社長は「交通弱者を交通『楽』者にしたいとの思いでこれまで自動運転技術を開発してきた」とし、運転手不足や収益性の低い地域におけるタクシー運行を自動運転技術が補う、と強調した。両社は17年6月に提携している。

(白木真紀)

 
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