最近、ソーシャルメディアでトランプ米大統領支持を表明するアフリカ系米国人の有名人が増えている。有識者の間では、ここ何十年も続いていた「黒人=民主党支持」という構図が崩れているという見方が浮上した。
元民主党支持者で、作家のロブ・スミス氏はこのほど、「民主党がトランプ大統領の不法移民対策に反対するのは、道徳的な観点からではなく、不法移民の支持票が欲しいだけ」と発言した。
同氏は、民主党の急進主義に対抗し伝統的価値観を支持する団体の中心メンバーで、いまは「黒人だからと言って民主党員でいる必要はない」という運動に参加している。
黒人で、有名音楽プロデューサーのカニエ・ウエスト氏が4月下旬、ツイッターでトランプ大統領への支持を表明したことは「民主党に大きな衝撃を与えている」と言われた。
政治専門家で、アフリカ系米国人の母親とアラブ人の父親をもつアリ・アレクサンダー氏は「ウエストがトランプ支持を表明して以来、トランプを肯定する人は3倍増えた」と述べた。
2012年から黒人有権者の民主党離れを予想した同氏はこのほど「起こるべくして起こった」と付け加えた。
ヘンリー・デイビスという名前の黒人が6月末に投稿した、「泣いているのはトランプ大統領のせいだよ」というタイトルのユーチューブ動画が話題になっている。
「アメリカを再び偉大な国家にするために」と書かれた帽子を被ったデイビスさんが涙を拭きながら、「働きたい人にはちゃんと仕事がある 。僕が泣いているのは、良い時代に生まれて嬉しいからだよ。それが現実に起こっているのを見られて幸せだ。神様、トランプを大統領にしてくれてありがとう」「黒人のドラッグ乱用を始めとする様々な問題が解決の方向に向かっている。僕らは何て素敵な時代に生きているんだ」と延々と語った。
ITの仕事をしているという保守派黒人ユーチューバー「アンクル・ホテップ」は、「多くの人々がマスコミのトランプ批判を盲目的に信じている」と書き込み、多くの黒人は虚偽の主張を信じて民主党支持者になったが、いまは考え直していると述べた。
アフリカ系米国人でテキサス州に住む二児の母シーラ・ルイス・アーレイさんは「奴隷から抜け出した黒人は、彼らのために戦ってくれた民主党側に付きました (中略) 。実のところ、黒人はずっと保守派なのです。堕胎を認めず、聖書の教えを守り、変化を好まない層です」と語り、黒人と民主党の理念が一致しないことを指摘した。
米ソーシャルメディアの人気者で、保守的政治政策とトランプ氏への支持を謳っているカンダス・オーウェンさんは最近、フォックスニュースのインタビューで、民主党は終焉に向かっているという見方を示した。
こうしたなか、有識者の間では、「アメリカでは新しいスタイルの政治構造が徐々に固まりつつある」という声が聞かれた。
いっぽう、民主党離れが進むアフリカ系有権者の間では、民主党は「不法移民の被害者意識を利用して、新たな票田として不法移民を取り込もうとしている」という批判の声が高まっている。