米大手航空会社、アメリカン航空は24日、公式ページでの台湾に関する表記を変更することを発表した。中国政府の要求に応じた対応だとしている。日本の大手航空会社も従来の表記方式を変えるなど対応に追い込まれたとみられる。
アメリカン航空のウェブサイトでは現在、「台湾」の表記が消え、台北市の空港情報のみが記載されている。
中国民間航空局は数カ月前、36以上の外国航空会社に通知書を送り、7月25日までにホームページで香港・マカオ・台湾を中国の領土と表記することをもとめた。
それを受けて、米政府は当初、監視管理社会を風刺する名作を引き合いに出して中国政府を批判し、「アメリカの企業や市民は政治理念の押し付けに応じる必要がない」と米航空各社にエールを送った。
「7月25日」の期限が迫るなか、台湾の呉釗燮(ウ・ジャオシエ)外交部部長は19日、CNNのインタビューで、各航空会社に対して中国政府の圧力に屈しないよう呼びかけた。
ユナイテッド航空、デルタ航空の英語・中国語ホームページは日本時間 25日夜の時点で、国・地域一覧に「Taiwan」「台湾」は残っている。ハワイ航空のネット予約システムでは「台北(Taipei)」に変わっている。
では、日本の航空会社はどうなっているのか? 全日空、日本航空のホームページでは、従来の「国・地域一覧」が「エリア・都市一覧」に変わっている。中国に長く駐在したという会社員は取材に対し、「われわれ日本人らしい苦渋の対策だ」と苦笑いした。なお両社とも、「台北」が「東アジア」の分類の中に表示されている。
米国営放送ボイス・オブ・アメリカ (VOA)によると、エア・カナダ、ドイツのルフトハンザ、英国のブリティッシュ・エアウェイズなどの大手航空会社は中国の要求に応じて表記を変えたという。
日本在住の中国人権活動家は「経済や市場のために、行き過ぎた要求に従うのは短絡的で、さらなる不利益をもたらす。中国政府は今後ますます強気に出るだろう」と懸念を示した。