バイオジェンとエーザイ、アルツハイマー薬治験で認知機能低下30%抑制

[シカゴ 25日 ロイター] – 米バイオ医薬品のバイオジェン<BIIB.O>とエーザイ<4523.T>は25日、共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬「BAN2401」の第2相臨床試験で、初期段階の患者グループに最高量を投与した結果、プラセボ(偽薬)と比較して認知機能の低下が30%抑えられたと発表した。

投与量が2番目に多い患者グループでも一定の効果が示されたが、統計的有意性はなかったという。

治験は初期段階の患者856人を対象に行われた。試験結果は、シカゴで開催されたアルツハイマー病協会国際会議で発表された。

発表に先立ち、アナリストらは治験で認知機能の低下を約20%抑えられれば、良好な結果といえると指摘していた。

両社は既に、臨床試験で最高量を投与した場合に有効性が認められたと公表していたため、バイオジェン株は今月に入って上昇していた。詳しい試験結果の発表を受けて、株価は引け後の取引で11%超下落し、339ドルを付けた。

ただ、専門家は総じて、今回の発表を肯定的に評価している。

米ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの医師ロナルド・ピーターセン氏は、今回の結果はアルツハイマー病の治療研究を促進することになると指摘。認知症を引き起こす原因物質のアミロイド・ベータの蓄積量を減少させることでアルツハイマーの進行を防ぐという治療法の有効性について「再び期待を高めた」と述べた。

認知症の最も一般的な形態であるアルツハイマー型認知症の治療薬は開発試験の失敗が相次いでおり、有効な治療法の確立が待ち望まれている。

専門家らは記者へのブリーフィングで、エーザイが認知機能を評価するためにADCOMSと呼ばれる新たな指標を採用したことに懸念を表明。ただ、従来型の「ADAS―cog」と呼ばれる指標を使った場合でも、最高量を18カ月間投与した時点で、プラセボと比較して認知機能の低下が47%抑えられる結果が示された。

*内容を更新します。

 
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