[25日 ロイター] – 米フェイスブック<FB.O>が、中国・浙江省で事業を立ち上げる計画を巡り、同国政府が承認を撤回した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙が、関係者の話として伝えた。
フェイスブックは24日、中国に子会社を設立したと公表。現地の新興企業やソフト開発者の支援に向けた「イノベーション拠点」を創設する計画としていた。
中国の国家企業信用情報公示システムで前週、承認された文書によると、子会社の登録地は杭州。ロイターが同日、同文書を閲覧した。
NYTによると、フェイスブックが子会社設立で承認を得たことが、中国政府のデータベースで数時間確認できたが、その後登録情報が消え、子会社に関連した情報も国内メディアで一部検閲されたという。
フェイスブックのコメントは現時点で得られていない。
今回の件は、米中両国の貿易摩擦が激化する中で起きた。GBHインサイツのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は「中国がフェイスブックの計画を阻止するなら、それは米中間の関税合戦が白熱化するのに伴う米ハイテク企業への新たな警告と言える」と指摘した。
米半導体大手クアルコム<QCOM.O>も、オランダ同業のNXPセミコンダクター<NXPI.O>買収について、中国当局の承認が得られておらず、断念する意向を表明した。
NYTの報道では、フェイスブックの計画の承認が撤回された背景には、浙江省と中国サイバー管理局(CAC)の意見対立があった。CAC側が事前に詳しい説明を受けなかったと激怒しているという。
エラザー・アドバイザーズのアナリスト、チャイム・シーゲル氏は「一見したところ、この問題は貿易摩擦絡みではなく、言論統制に関わる側面が強いように見える。中国は一般国民の手に入る情報をコントロールしたいと考えており、それがフェイスブックやグーグルの参入を困難にしている」と述べた。