「男たちの挽歌」「グリーン・デスティニー」など数々の名作で主役を演じ、数々の賞を受賞している香港のスターチョウ・ユンファさんは、ただのイケメン俳優というだけではありません。香港の有名人として巨万の富を有しているにもかかわらず、自分を「普通の人」とみなしています。一般市民と同じように公共交通機関を利用し、贅沢な暮らしもしません。彼のシンプルな生活スタイルは、母親からの影響だそうです。野菜農家の母親は、他人に寛大でありながら、謙虚に慎ましく生活するようにと息子に教えました。
今までに公共の交通機関で騒がれたことがないかと尋ねられると、チョウさんは「地下鉄に乗っている人の9割はみんな自分の携帯電話を見ていますよ。案外気づかれないものです。放棄された農地に行くのとそう変わりません」とオリエンタルデイリーに語っています。その上、専用運転手も雇っていません。「もし運転手を雇ったら落ち着きませんよ。だってずっと待たせることになって、気になって仕方がないでしょうね。そんなのはちょっとね」
中国当局は、チョウさんが香港の民主化を支持していたという理由で、中国本土での映画制作から排除するブラックリストに載せました。それでも香港では、彼の人気は衰えるところか、返って道徳的に模範的な人物として称えられています。チョウさんは香港の教科書で紹介された初の有名人であり、台湾で「国父」と呼ばれる孫文や中国で最も有名な南宋の武将、岳飛と同じ扱いです。
その一例として、2017年に香港を襲った台風の後、彼が九龍のウォータールーロードでがれきや木の枝を片づけているところをファンが見つけました。
「車に乗っていたら倒木が道路を塞いでいたので、通れるように片づけたんです」と、チョウさんhApple Dailyに語っています。
香港では一時、「チョウ・ユンファが病死した」との偽ニュースが流れ、チョウさんが実際に死亡した場合、10億香港ドル(1億6,400万ドル)を慈善事業に寄付するというデマが流れました。実際のところ彼は健在で、今年5月18日に63歳の誕生日を迎えたところです。そして現在はアクション映画、Project Gutenbergに取り組んでいます。
チョウさん曰く、得たお金は人から来たものなので、それを返すのが理にかなっているというわけです。死後は全財産をチャリティーに寄付すると宣言しています。「お金は、自分の所有物だとは思っていません。ただ、一時的にそれを預かっているだけです。全部、それを必要としている人たちに寄付します」
彼にとって、人生で最も難しいのはお金を稼ぐことではなく、「平安な気持ちを保つこと」です。
確かに、人は何も持たずにこの世に生まれ、どれほど多くの富を持ったとしても、死ぬときは何も持っていけません。とはいえ、情け深い心、そして真に他の人を気遣う思いやりを残すことはできます。それは人々の心にずっと残るものだからです。チョウ・ユンファがスーパースターとして香港の人々に愛されているのは、不思議なことではないのです。