稀少なブルー・ダイヤモンドで、世界で最も有名な宝石の一つであるホープダイヤモンドは、複雑な歴史をたどってきました。ワシントンDCにあるスミソニアン国立自然史博物館で一般公開されるに至るまで、君主や銀行家、女性相続人たち、泥棒たちの手を渡り歩いてきました。
8月1日に発表された研究結果によると、非常に稀少で貴重なブルー・ダイヤモンドの地質学的な歴史はもっと複雑です。
科学者たちは、46のブルー・ダイヤモンドを分析しました。その中には南アフリカで発見され、2016年に2500万ドル(約25億円)で落札されたブルー・ダイヤモンドも含まれています。そして、ブルー・ダイヤモンドは少なくとも410マイル(約656㎞)の深さ、つまり地球の下部マントルで形成されることを突き止めました。ブルー・ダイヤモンドに含まれていた小さな鉱石の破片がダイヤモンドができた場所を突き止める手がかりになりました。
ブルー・ダイヤモンドは採掘される天然ダイヤモンド全体のわずか0.02%です。
ダイヤモンドは、純粋な炭素が高熱・高圧力下で形成されます。ブルー・ダイヤモンドは、ずっと昔は海底の一部だったけど、地表を形作った巨大な構造プレートの大移動によって深部に押し込まれた水を含む鉱石と一緒に結晶化した、と研究者は言います。
科学者たちは、すでにこれらのダイヤモンドが、青い色彩をホウ素という元素から得たことは知っていました。この研究は、ホウ素が一時期海の中にあって、百万年以上かけて地下へと深くもぐりこんだ海底の石に組み込まれたということを示しました。
「私たちはブルー・ダイヤモンドの形成のされ方について、事実に基づいた見解やモデルを初めて示すことができました。この研究より前には、ブルー・ダイヤモンドがどこで形成されるのか、どんな石の中に形成されるのか、またはどこからホウ素を得ているのかということが全くわかりませんでした」とアメリカ宝石学会の研究者エヴァン・スミス氏は言います。この研究はスミス氏がリーダーとなって進められ、研究成果はNature誌にも掲載されました。
ほとんどのダイヤモンドは完全に無色ではなく、少し黄色がかった色合いです。しかしまれに、目立つ色彩、たとえば黄色や茶色、ピンク色、緑色のものなどがあります。ダイヤモンドの約99%は地下約90から125マイル(約144㎞から200㎞)で形成されます。つまりブルー・ダイヤモンドに比べると、浅い所で形成されるのです。
スミソニアン国立自然史博物館に展示されているホープダイヤモンドはさておき、2016年にオッペンハイマーというブルー・ダイヤモンドが5億7500万ドル(約575億円)で落札されました。その当時の宝石の落札価格としては過去最高でした。