中国内陸部の山西省では、死後の遺体を土葬するのに使う棺おけを巡って大騒動が起き、内外で話題になっている。
同省各市近郊の農村では、地元政府が約1カ月前から、国の火葬政策を実施するとの理由で、一定額の補助金を支給するとして、棺おけを半ば強制的に回収し大量処分することに乗り出した。
この地域には、生前に自分用のひつぎを作り置きしておく風習がある。インターネットには、ショベルカーで破壊されたひつぎが大量に散乱する現場の写真や映像が投稿された。
一方、住民は、法律執行という大義名分のもとで高額の墓地を売りつけて利益を得るための腹黒政策だと反発している。複数名の高齢者が回収に応じず自殺を図ったという情報もある。
新唐人テレビ(NTDTV)の電話取材に応じた地元有識者の話では、現地の墓地販売価格は1平米あたり4万元から数十万元 (1元は約16円)で、高級住宅よりもはるかに高い。しかも土地は20年後に政府に返還される決まりだという。
省内2つの町(県)が7月末に公表した棺おけの回収数は合計で4万9000基に上る。公表していない県もあるため、実際の数はもっと多いとみられる。
世論が注目するなか、地元政府は1日、公式サイトに「火葬を進める過程において、安易かつ極端なやり方が一部でみられた」と反省する文書を掲載した。
現在、棺おけの回収は中止している。消息筋によると、地元政府の内部通知は、「土葬および遺灰の土葬は厳禁」と記し、今後も火葬政策を余儀なく実施することを強調している。
中国の農村部では、現在も土葬の風習が根強く残っているが、中国政府は近年、衛生面の問題などの理由で、火葬を進める政策を打ち出した。