東京 13日 ロイター] – ドンキホーテホールディングス<7532.T>の大原孝治社長兼CEO(最高経営責任者)は13日の事業説明会で、米小売大手ウォルマートが傘下の西友を売却するならば「興味はある」と述べ、前向きな姿勢を示した。
西友売却については「マスコミで見た情報だけ」とした上で、「不動産がなければ小売業はできない。人材などに加え、当然、全てではないが、今では手に入らないような立地が多数ある。もし、本当に売るならば、細かく精査したい」と述べた。
ドンキホーテHDは、撤退した総合スーパー(GMS)の居抜き物件に出店するなどして店舗網を拡充してきており、物件に合わせた複数の出店フォーマットを有している。
これに対し、ウォルマートの広報担当者は「西友の売却は決めていない。買い手候補との協議は行っておらず、変化する日本の顧客ニーズに応えるよう、将来に向けて引き続き日本事業を行っていく」と述べた。
ドンキホーテHDは2019年6月期に20店舗程度の新規出店を予定している。また、6店舗でスタートしたユニーとの新業態店舗は、2019年中にさらに20店舗を転換することで合意した。転換した6店舗は、転換前に比べて売上高が90%増、客数が70%増、粗利高が60%増と好調に推移しているという。
同社は、10日に2019年6月期の業績見通しを発表した。連結売上高は1兆円(前年比6.2%増)、営業利益530億円(同2.8%増)で、30期連続の増収増益となる見通し。年間配当は33円で、16期連続の増配を計画している。
「ビジョン2020」では、2020年6月期に売上高1兆円(18年6月期は9415億円)、店舗数500店舗(同418店舗)、ROE15%(同13.3%)を掲げている。「ビジョン2020」以降について、大原CEOは「売上高2兆円は十二分に達成可能」とし、在任中に営業利益1000億円を達成したいと述べた。
小売業では、アマゾンのようなEC(電子商取引)が急激な伸びを示している。ただ、大原CEOは、音楽のダウンロードが増えてもライブがなくならないことを例に挙げ、「ダウンロードした音楽がアマゾンなら、ライブ会場がドンキホーテ。どちらもライフスタイルには必要」と指摘。その上で「アナログとデジタルのスーパーハイブリッド業態を年内めどに立ち上げる予定」とした。
また、同社は、東京都渋谷区に地上28階、地下1階で、店舗、オフィス、ホテルが入る複合ビルを建設すると発表した。旧ドン・キホーテ渋谷店を含む5700平方メートルの敷地。2022年4月の竣工を予定している。
*内容を追加しました。
(清水律子)