イギリスの経済紙「フィナンシャルタイムズ」は、バングラデシュに対する中国の莫大な投資が、隣国インドの不安を引き起こしている、と報じました。多くの国が、中国の広域経済圏構想「一帯一路」を警戒し始めています。
バングラデシュの南北地域を結ぶパドマ橋は、同国の重要なインフラプロジェクトです。総工費の37億ドルのうち、30億ドル強が中国政府の融資で、同国に対する300億ドルのインフラ投資の一部分です。これに対し、バングラデシュの長年の同盟国、インドが警戒し始めています。
NTDTVコメンテーター・ジェイソン氏「インドは バングラデシュがスリランカの二の舞になるのではと憂慮している。スリランカは先日、戦略的港であるハンバントタ港の運営権を中国政府に99年間契約で譲渡した。バングラデシュで同様なことが起きれば、インドに地政学的重大な脅威をもたらす」
近年、中国政府は「一帯一路」構想の一環として、南アジア諸国に巨額の資金を投資していますが、懸念の声が高まっています。一番の理由として、融資を受けた多くの国が借金漬になったことが挙げられています。
例えば、南アジアで「一帯一路」の最大の資金受入皿であるパキスタン。中国政府の投資で造った最初の地下鉄は、同国の負債額を大幅に押し上げました。数日前、パキスタンは国際通貨基金(IMF)に、これまで同国最大規模となる120億ドルの融資を要請しました。
「一帯一路」構想への警戒は広まりつつあります。8月7日、アメリカのトランプ大統領は、企業役員らとの晩餐会で、一帯一路が世界貿易の秩序を乱す可能性があると述べました。
NTDTVコメンテーター・ジェイソン氏「中国政府は一帯一路を推進する際、自身の利益と戦略的狙いを最優先し、相手国の国民や政治 経済はまったく考慮していない。多くの国が借金漬けになり、最終的に中国共産党に従わざるを得ない」
アメリカのシンクタンク「グローバル開発センター (CGD)」が今年3月にリリースした報告書は、「一帯一路」構想は、南アジアのパキスタン、中央アジアのキルギス、東アフリカのジブチなど8カ国を債務危機に導いたと指摘しています。