かつて麻薬を販売した罪で実刑判決を受けたニューヨークの青年が、ある菓子メーカーに就職したことにより、新たな道を歩み始めることとなりました。
ブラウニーの焼きあがる匂いが広がる中、従業員らは忙しく働いています。ディオン・ドリューさんは工場の生産主任で勤務態度は非常にまじめ。ですが麻薬密売の罪で懲役4年の実刑判決を受けた過去があります。
ドリューさんは見習いから始め、10年間の勤務を経て主任に昇格。同社のオープン求人方式にとても感謝しています。
グレイストン・ベーカリーの生産主任 ディオン・ドリューさんは、「私の人生を救ってくれた。私が仕事を必要としている時、生活を変えようとしている時、彼らがその機会を与えてくれた。一夜にして幸運を手に入れた」と語ります。
グレイストン・ベーカリーは1982年、ニューヨーク州ヨンカース市に誕生しました。創始者で敬虔な仏教徒のバーニー・グラッスマン氏が会社を設立した理由は、大勢の人に門戸を開き、平等な機会を提供するためでした。
この信条をベースに、雇用に際し、応募者全員に平等な機会を与え、社会的背景で応募者を判断することはありません。犯罪率の高い地域で育ったデボン・カードウェルさんはこのことに感謝しています。
グレイストン・ベーカリー従業員 デボン・カードウェルさんは、「こうした地域で育つと、逮捕や投獄される確率が高くなり、命を失うことだってある。自分も何か罪を犯していたかもしれない」と語っています。
現在同社で働く従業員100人のうち、約60%は過去に犯罪歴があり、ホームレスだったり、英語を話せない移民だった人がいます。
グレイストン・ベーカリーの求人責任者、マイク・ブレイディさんは、「人々はもっとオープンな解決方法を求めている。雇用の機会が与えられない人々にチャンスを与えたい」と語っています。
グレイストン・ベーカリーでは、社会で問題があるとされる人々も働いていますが、何の影響も受けていないどころか、過去4年間で収益が2倍になり、2000万ドル(約22億円)に達しました。ブラウニーの納入先にはデルタ航空やホールフーズ・マーケットといった大手企業の名前が挙がります。同社はこうした求人方法を普及させるとして、今年6月にオープン求人センターを設立しました。