台湾にはとても美味しい桃があることを知っていますか。台北から車で1時間強で着く桃園に、標高2千メートルの逹観山(通称「拉拉山(ららさん)」)があります。ここでは7〜8月に旬の瑞々しい桃が食べられます。
1,000メートルを超えたところに桃の木がたくさんあります。果樹園を経営する農民の多くが原住民の泰雅族(タイヤル族)で、収穫期になると、朝方3時から桃の採集をする大変勤勉な人たちです。その理由を尋ねたら、「サルに取られる前に取っちゃうんだよ」と無邪気な笑顔で答える少年。ちなみに、「拉拉」を泰雅族の言葉では「美しい」という意味だそうです。
台湾の面積は九州とほぼ同じですが、北回帰線が通過していることと、高さ3千メートル以上の山が台湾の中央部を南北に連ねているところが九州との大きな違いでしょうか。亜熱帯でありながら、冬になると雪山の頂上を目指す登山家たちが世界各地から集まってくるほどの険しい山脈群です。そのためか、気温の高低差からたくさんの美味しい果物が生まれるのですね。
拉拉山は避暑地であり、国有林自然保護区でもあるので、景色は抜群です。ここには紅檜(べニキ)と扁柏(ヒノキ)が群生していて、特に24本の神木が見どころです。樹齢はなんと最高2800年の「ご高齢」ですが、本物を目の前にするとその巨大な樹幹に圧倒されてしまいます。
暑さが世界中で猛威を振るう今年、暑気を避けるには拉拉山をお勧めします。台湾一を誇る紅檜群生地であり、言わば台湾で最も酸素の多い場所で、マイナスイオンたっぷりの森林浴を満喫したあとは、緑に囲まれる中で甘くてジューシーな桃をほおばる、想像するだけでも幸せな気分になりますね。
夏の旅行を考えている方は、旅先に拉拉山はいかがですか。