新疆ウイグル自治区では、ウイグル人に対する当局の規制が強化の一方を辿っています。ウイグル人は、当局から監視され、行動を規制され、さらには「検診」の名目でDNAや血液のサンプル、指紋など、生体データまで採取されています。最近、人権擁護団体が報告書を発表し、思想を改造するための「再教育キャンプ」にウイグル人数百万人が収容されていると指摘しました。
人権擁護団体「チャイニーズ・ヒューマンライツ・ディフェンダーズ(CHRD)」が8月3日、報告書を発表し、中国当局は司法手続きを踏まずにウイグル人を拘束し、自由を制限していると指摘。いわゆる「再教育キャンプ」には明確な服役期限がなく、当局は「強制的な失踪」、拷問など人権侵害の手段で多くの市民、特にウイグル人を多数拘禁していると非難しています。
報告書は、ウイグル人に対するこのような差別的措置は、当局上層部からの要求であると分析。新疆の「宗教的安定」が当局の「一帯一路」構想にとって極めて重要だと判断しているからだと指摘します。
複数の消息筋によると、「再教育キャンプ」に拘束されたウイグル人の数は100万人を越えるということです。
一方、報告書では、今年6月までに拘束され、いわゆる「教育カリキュラム」への参加を強制された新疆市民、特にウイグル人は、200万〜300万人に達している可能性があると指摘しています。
新疆で20年間生活している漢族の商人は、新疆南部の村には若年、中年層の全員が「再教育」コースに入れられたと話します。
世界ウイグル会議の移民難民部門の責任者、ムハンマド・トフティさんは、迫害を受けている人々の数を特定することは困難だが、現在海外在住のウイグル人の新疆に住む親族で、強制収容所に拘禁されている数は平均2人~50人に上ると述べました。また、一部の地域では、街頭にウイグル人がほとんどいない様子が収められている写真も公開されています。
世界ウイグル会議 ムハンマド・トフティさんは、「一部ではなく、全てのウイグル人が中国共産党の抑圧下にあり、迫害や弾圧を受けている。現在少なくとも300万~400万人が集中キャンプに入れられ、そこで迫害を受けている」と話します。
トフティさんは、現在ウイグル人が受けている弾圧の手は、将来他の民族にも伸びていくだろうと警告します。
カナダ在住華人作家 盛雪さんは、「中国共産党の統治手段の一つだが、異なる時期や目的において 異なる地域や集団に対して異なる迫害方法と統制の手段を取る。多くの場合、迫害されていない人々の中には幸運をあてにする心理が広く存在する。特に党が違う扱いをした場合、迫害されていない人は自分が幸運だと感じ、さらには特殊な団体に対する当局の迫害を支持または協力する。そうすることで、自分の幸運が続くと思っているからだ」と述べます。
カナダ在住の華人作家、盛雪(せいせつ)さんは、数十年にわたり中国共産党当局はこの方法を繰り返してきたが、中国の人々はそれに気づいていないと述べます。例えば、新疆で行われている「政治的ガス室」に対し、多くの人は無関心であると嘆きます。
「現在、中国共産党は人々を再教育施設に入れ、人を心理面、感情面、認識の全ての面から取り壊し、党に必要な人間に改造する。この過程は一人の人間にとっては、極めて残酷なことであり、ナチスの収容所よりも邪悪だと言われる。それなのに 世界中がお手上げなのだ」
一例として、中国では法輪功学習者が生きたまま臓器を摘出され、移植産業に使われているのに、多くの人はこの事実を認めようとしない。なぜなら、これほど残酷なことに対し、何も手を打たなかったことを、世界に説明できなくなるからだと、盛雪さんは述べます。新疆でウイグル人に対して行われている精神的虐殺の現状は、他の民族の未来でもあると指摘します。
「中国共産党は 他の民族に対しては、同じ迫害方法は使わないかもしれない。例えば、漢民族にはメラミン入り粉ミルク、不正ワクチン、有毒な食品、汚染された空気や水などを使うかもしれない」
新疆ウイグル自治区の現在の人権危機について、アメリカ・フロリダ州上院議員のマルコ・ルビオ議長は、7月26日の聴聞会で、「現在世界で起きている最も恐ろしい事の一つだ」と述べました。