アメリカの小児科学会は、毎日口にする食品で、その処理、包装、保存に使用される化学物質が特に子どもたちの健康へ悪影響があるとして、アメリカの食品添加物の規制を「早急に改める必要がある」と呼びかけています。
学会が提出した新しい報告書によると、生産の過程で意図的に加えられる「着色料、香料、化学物質」などにはこどもたちの健康に弊害をもたらす可能性があると懸念し、これらの物質は食品添加物として知られていると指摘します。
「現在の食品添加物規制プロセスには重大な弱点がある。そのため、食品に加えられるすべての化学物質が食卓にのぼるのに十分なほど安全であるとは言い切れない」と、主筆のレオナルド・トラサンド(Leonardo Trasande)医師は明かします。
また、間接的な食品添加物についても危惧しています。これらは、「包装などの過程に使われる材料で食べ物を汚染する可能性がある」と主張します。例えば、接着剤、染料、コーティング、紙、板紙、プラスチック、その他のポリマーが含まれます。
7月23日の報告書で、「食べ物によっては、子どものホルモン、成長、および発達を妨げる可能性がある」との報告が増えていると指摘しています。また、1970年代から3倍になった子どもの肥満のリスクを高めると考えられています。
現在、食品の味、外観、質感、または栄養素を調整したり、保存、包装に使用される10,000種類以上の添加物が米国で許可されていますが、これらのほとんどは1950年代に承認されたものです。そして、約1000種類の添加物はアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を必要としない「一般的に安全なもの」のカテゴリーに含まれていると説明しています。
学会によると、添加物の中でも最も懸念されるのが、ビスフェノール、フタル酸エステル、非持続性農薬、ペルフルオロアルキル化合物、過塩素酸塩、人工着色料だそうです。これらの化学物質から引き起こされる健康被害としては、思春期の変化、生殖能力の低下、免疫力の低下、こどもの肥満、心血管疾患、そして脳の発達と成長の阻害などが含まれます。
「発達段階でのどんなに小さな阻害であっても生涯にわたって影響を引きずることになりかねません」とトラサンド医師は警告します。