オーストラリア政府は8月23日、次世代移動通信システム(以下、5G)の構築プロジェクトに、外国政府の指示に従う可能性の高い企業の参加を禁止することを発表した。中国の大手通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ、Huawei)と中興通訊(ZTE)が含まれる。同日、華為は声明で遺憾の意を表明した。
参加禁止の理由について、豪政府は国家安全保障への配慮だとしている。
豪メディアによると、華為とZTE は、同プロジェクトの受注禁止企業リストに編入され、豪政府はすでに華為のオーストラリア支社に正式な通知を送ったという。
華為はその後発表した声明で、中国政府から情報活動協力の要求を受けていない、中国の法律も企業にこのような義務を定めていないとして、中国政府との不透明な関係を否定し、従来の主張を繰り返した。
ロイターによると、華為は同プロジェクトへの参加許可を得るため、自社納入設備への完全なチェックを受け入れると豪政府に表明していた。
米国政府はそれに先立って、華為を米国家安全保障に脅威を与える中国サプライヤーのリストに編入した。
今年4月、米連邦議会の諮問機関「米中経済・安全保障調査委員会」のレポートは、中国政府は自国企業の競争力向上・政府の利益のため、一部の企業の諜報活動をサポートしていると報告した。名前を挙げられた中国企業には、華為、ZTE 、レノボ(聯想集団、Lenovo)があった。
同3社はそれぞれおよそ10年前に日本で現地法人を設立した。
華為については、中国国内で政府の厖大な監視システムに技術供与しているとされる。同社の機密資料「VCM操作ガイド」がかつてインターネットに流出したことがある。VCMとは、人工知能(AI)の監視カメラが撮った映像をリアルタイムに解析して警察に通報する監視システムのこと。「世界をつぶさにみることができる」とそのリスクが懸念されている。