1968年8月20日深夜、旧ソ連軍とワルシャワ条約機構軍の戦車5,000台と、20万もの軍隊がチェコスロバキアに侵攻し、民主化運動「プラハの春」を弾圧する事件が起きました。事件から50年となる今年、プラハで2つの写真展が開催されました。
当時、旧ソ連の軍事介入を受けたチェコ人は大規模な抗議活動を行いましたが、国全体が占領下に置かれることとなりました。この状況は1989年に同国で共産党政権が倒されるまで、20年にわたって続きました。
プラハの旧市庁舎で開催された写真展では、カメラマン40人が撮影した200枚余りの写真が展示されました。無名のカメラマンに撮影された写真ですが、どれも見る人の心に深く訴えかけます。うち一枚は、ソ連軍の戦車がリベレツ市庁舎のアーチにぶつかった瞬間をとらえています。
当時13歳だった写真展主催者のキンドロバさんは、今でも事件の様子を生々しく記憶しています。
「私は全部覚えている。当時 私たちはチェコ放送局ビルの近くにおり、緊迫した状況だった。戦車の燃料タンクが爆発し 砲門が倒れてきた。私たちに向けて発砲しようとしているのかどうか分からなかったので、必死で駆け出した。家に戻れ!と父が大声で叫んでいた」と当時を振り返ります。
プラハ市の服飾芸術博物館では、当時のプラハ市街地の様子、人々の怒りや落胆、大規模な抗議活動を映した写真が数多く展示されています。カメラマンのクーデルカさんは、一週間の間に数千枚もの写真を撮影し秘密裏に国外に持ち出した後、西側で出版しました。この写真集は20世紀で最も有名なドキュメンタリー写真となりました。
時代は移り変わり、クーデルカさんの写真展はポーランドやイタリア、中国、そしてロシアでも開催されるようになりました。
写真家 ジョセフ・クーデルカさん
「世界各地で写真を展示でき、思いがけないことまでやり遂げた。私の写真で ロシアの戦車をモスクワに連れてきた。心から誇りに思っている」