おどろき!梨の漢方効果 便秘解消とダイエットにも効く?

私たちの身近には、漢方としての食べ物がけっこうあるんです。特に季節の野菜や果物、日常生活の中で取り入れられるものを使って体を健康にすることは、本当に実用的で役立ちますね。実は、9月に一番よく食べられるフルーツ・梨は便秘解消に大変良い効果があるのです。しかも遥か昔から治療薬として使われていたのです。それにまつわる物語をご紹介しましょう。

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宋の時代、ある読書家は元気がなくて、話す気力さえない状態が何週間も続いていました。当時、楊介という名医が彼に、「虚熱証によって、気血は皆無」のため治る望みが全くなく、さらに3年後には亡くなると言い渡しました。落胆した読書家は命を救ってくれる医者を探し求めて、あちこち出かけるようになります。最終的に、噂に頼ってある道士を訪ねることにしました。

道士は「世の中には治せない病はない」と一笑に付して、彼の脈をとります。そして、「ここには差し上げられる薬はない。今から下山して、おいしい梨を多めに買って一日1個食べなさい」「生の梨がなければ、乾燥した梨をお湯に浸して食すると、全ての病が治るのじゃ」と彼に伝えました。

山盛りの和梨(pixabay)

読書家は言われた通りに行いました。1年後、たまたま街で以前診断してくれた名医の楊介にばったり会いました。楊氏は読書家の気色がよくて、脈も落ち着いていることにビックリしました。

(pixabay)

梨を食べる前に、読書家は虚弱で無気力に見えても、体の中は熱さを感じていたのです。その症状を漢方では「虚熱」というのだそうです。もともと虚弱体質の人は軟便が多いのですが、腸の蠕動が弱くて便が大腸に長く留まり、水分が吸収されると硬くなってしまうのです。状況が改善されず、長期にわたると体の具合が悪くなるようですね。

そこで、水分も食物繊維をも多く含む梨は便を柔らかくしてくれるし、ザラついた食感に含まれるペントザンという成分は、美腸効果があると言われてるんですよ。中国の漢方書籍『本草備要』に記された、梨には「利大小腸(大腸と小腸に有益である)」という通りですね。

和梨(pixabay)

さて、梨のいいところはまだまだありますよ。とにかくカロリーが低く、満腹感が得られます。1玉で120kcal前後ですので、2玉食べてもたったの240kcalしかないのです。ダイエットにはちょうどいいですね。また、梨にはアスパラギン酸も含んでいるため、スタミナを作ってくれます。その分活動できるようになるので、カロリーの消費が高まり、最終的にダイエットに繋がりますよね。

運動(pixabay)

ただし、梨にはいろんな効果があるからと言って、全ての人に効くものでもないようです。梨は漢方において、解熱作用があるので冷たい性質を持っています。なので、「脾虚泄瀉」の患者、いわば手足が冷たい、お腹の弱い人や授乳中の方、「血虚(大雑把にいうと貧血)」の方にはお勧めできないのです。

それにしても、昔の人は本当にすごいと思いませんか。自然界のものを知り尽くしているようで、健康のために何でも上手に使いこなしているのですね。せっかくですから、古人の知恵を私たちも上手に活用して、体の中からキレイにしていきましょう。

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『本草備要』の中で梨について、「肺を潤わせ、心臓を涼める。痰を解消し、熱を鎮める。渇きを止め、酒を分解する。大腸と小腸の働きを助ける」と記載しています(123RF)

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