アフリカ豚コレラ、中国で感染拡大 東南アジアへの拡散が懸念される

中国アフリカ豚コレラ(ASF)の感染が拡大している。農業農村部は5日、新たな発生地域を明らかにした。1カ月の間、東北部から中部、南部のあわせた6つの省に急速に広がったことになる。東南アジアへの拡散が懸念されている。

当局の発表から、8月3日に東北部の遼寧省瀋陽市でアジア初の感染例が確認されてから、約2週間後に中部と南部に蔓延していることがわかる。

8月16日に中部の河南省(鄭州市)、19日には南部の江蘇省(連雲港市)、22日に同浙江省(温州市)、30日と2日に同安徽省(蕪湖市、宣城市)、5日に新たに発表された感染地は東北部の黒竜江省(ジャムス市)だった。

中国の国境からおよそ1000キロ離れたロシア東部で2017年3月にASFが発生した。ロシアから中国にウイルスが広がった可能性が高いとみられる。

国際連合食糧農業機関(FAO)は「このままでは感染は中国にとどまらず、半径約1000キロの範囲に拡大する可能性がある」と警告している。

FAOの呼びかけのもとで、5日、タイのバンコクで感染防止対策を議論する緊急会議が開かれ、日本や中国、韓国のほか、東南アジア主要各国が参加した。

中国は世界最大の豚養殖・消費国で、豚肉の生産量は世界のほぼ半分を占めている。中国国営メディアは、 初感染確認以来、3万8,000頭の豚を殺処分したと報じた。

ASFとは、アフリカ豚コレラウイルスが豚やイノシシに感染する伝染病であり、ヒトには感染しない。感染ルートはダニの媒介、感染畜との直接的な接触などとされる。有効なワクチンや治療法はなく、致死率はほぼ100%。

韓国当局の8月下旬の発表では、中国から帰国した韓国人が持ち帰った食肉製品からアフリカ豚コレラウイルスが検出された。

 
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