「車内での通話はご遠慮ください…」というアナウンスのそばで、「今電車の中だから…」という電話で話す声。時々遭遇する場面ですね。そんな日本とかけ離れたフランスの実態とは?今日はその実地レポートを少しだけお届けしましょう。
イヤホンマイクってそういうふうに使うんだ!
道を歩きながら電話する時、手に電話を持っている姿をよく見ますね。でもここリヨンでは、イヤホンマイクを使って電話している人がかなりいます。街中でも公共の乗り物でも…。慣れないと、えっ何この人!?とびっくりしますが、ここではそれが日常茶飯事なのです。しかもかなり大きい声で。よく聞こえないとそうなるのは仕方がないのでしょうが、普通に「会話」しています。
当然会話の内容も筒抜け。「じゃあ、これからそっちに行くよ」という穏便な会話もあれば、強い口調でケンカしている人もいます。そのうえ、さすが移民の国と言われるだけあって、フランス語だけでなく、ありとあらゆる言語が聞こえてきます。
日本では、イヤホンマイクは音楽を聴くイヤホンとしてしか使ったことがない、という人がほとんどではないでしょうか。フランス人に言わせると、ケータイやスマホから出る電磁波のため、頭に近づけない方がいいとも聞きます。通話しながら歩くフランス人から、イヤホンマイクの使い方を学ぶことができますよ。
そういう人ばかりでもない?
かといって、皆が皆そうでもないことを付け加えておきましょう。先日トラム(路面電車)の車内で、電話の着信音が。かなり長い間鳴っていましたが、誰も電話に出ず切れてしまいました。どうやら自分にかかってきたらしいと思ったか、ある男性が電話をかけ始めます。しょっちゅう見る光景がまた現れるかと思いきや、その男性は一言二言ボソッと話してから、電話を切ってしまったのです。
よく聞こえなかったものの、「今トラムの中だから、また後でかける」という電話だったに違いない!(あくまでも想像ですが…)そう思ったとたん、その白髪混じりの男性に、急に親近感を抱いてしまいました。どこに住んでいても、こういう良識のある人を見かけると爽やかなものですね。
というわけで、時々こういう人もいますが、たいていは街も車内もにぎやかなリヨンです。リヨンの街中でイヤホンマイクで電話すれば、地元にとけ込めるかもしれませんよ!